スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←年下カレシ その4 →貴方中毒(舞踏会A後、ボリアリ)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【年下カレシ その4】へ
  • 【貴方中毒(舞踏会A後、ボリアリ)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

Double Face(クローバーの国、グレアリ)

 ←年下カレシ その4 →貴方中毒(舞踏会A後、ボリアリ)
「お疲れ様。今日も君が手伝ってくれたおかげで、仕事の進みが速いよ」
「そんなことないわ。私ができることなんて、せいぜい書類整理が関の山だし・・・・・・ナイトメアを捕獲するのも、結構時間がかかっちゃったしね」
「いや、二時間帯で無事に捕まえられただけでも充分すばらしいことだ。脱出した直後のあの方は、寝込むことの方が多いからな」

 しみじみと溜息をつくと、彼女はお疲れ様と苦笑交じりの言葉を向けてくれる。
 仕事を終えてこれから休憩という彼女の手には、二つ並んだマグカップを乗せたトレイがある。苦味のある香りが鼻腔をくすぐった。
 何でもナイトメア様を捕まえる際、次の休憩にコーヒーを淹れて一緒に話をするという約束をしたらしい。
 仕事をとことん嫌がって逃げ出した挙句、部下の恋人に何をさせているんだと思うと、我が上司ながら少々・・・・・・いやかなり腹立たしいが、まあそのあたりをアリスに言っても仕方がない。

「本当に君はコーヒーを淹れるのが上手いな。上手そうだ。俺にもあとで淹れてもらえるか?」
「もちろん!コーヒーはユリウス仕込だから、結構自信があるのよ」
「・・・・・・ああ、そうか。時計屋に・・・・・・」
「ええ。ユリウスって本当にコーヒーにだけはうるさかったかし、しかも淹れたコーヒーに採点してくるものだから、点が低かったりするとついムキになっちゃって・・・・・・」

 やけに嬉しそうに時計屋の話をするアリスを複雑な思いで見つめる。
 ガキくさい感情に吐き気がする。時計屋と何もなかったことくらい、本人にも確認済みだというのに、いつまでもグジグジと嫉妬するなんて。

 わかっている。俺は多分、悔しくて仕方がないのだろう。
 俺の知らないアリスの時間を知っている男が別にいるというその事実。
 どうしようもない事実に嫉妬しているのだから、このもやもやした気持ちは永遠に消えてなくならないに違いない。

 心の狭さから生まれる感情を押し殺して、未だに楽しげに話を続けていたアリスの唇を軽いキスで塞ぐ。
 ちゅっと可愛らしい音を立てて顔を離すと、まんまるに見開かれたアリスの瞳と視線が絡んだ。


「すまない。君があまりにも可愛いものだから、つい」
「なっ、ななな・・・・・・・・!!」


 本心は綺麗に隠して微笑んで見せると、アリスの顔が音を立てそうな勢いで赤くなった。
 唇を押さえようとして手に持っていたトレイを落としそうになり、慌てて持ち直しながら動揺しているアリスの姿に、悪いと思いつつ笑いがこみ上げてしまった。

 まったく可愛らしいことこの上ない。

 ・・・・・・本当はこんなママゴトみたいなキスじゃなくて、深く求めるキスをしたかったところだなんて本音を暴露したら、もっと可愛い反応をしてくれるだろうか。
 ちらりと廊下の端に視線を向け、考え直す。今、ここじゃ、さすがにまずいだろうと理性が働いてくれた。
 それに・・・・・そんなところ、見せるのも勿体無い。

「ほら、ナイトメア様が待っているんだろう?早く行ってあげてくれ。あの方は拗ねると面倒なんだ。後で、俺の分も淹れてくれたら嬉しいよ」
「う、うん。わかった・・・・・・その、あとでね、グレイ!」

 素直に頷いて足早に去っていく少女の後姿を見送る。
 トレイを持ったままあんなに慌てて、転ばないだろうかとも思ったが・・・・・・今はアリスに付いていくより先に、やることもある。



「・・・・・・それで?何の用だ」



 アリスの気配が完全に遠ざかったのを確認した後で、打って変わって低い声を投げかける。同時に向けた殺気に動じた様子もなく、廊下の端からコツと足音が響いた。
 視線だけを向けた先には、見たくもない赤いロングコートと大振りの剣、そして爽やかに見せかけただけの作り笑顔があった。

「ははっ、やっぱり気付いてたんだ?くだらない恋愛ごっこに夢中で、バレてないかとも思ってたんだけどなあ」
「不法侵入の上に覗きか。大した礼儀知らずだな、×××が」
「嫌だなあ、ちょっと迷子になってたところにトカゲさん達がいただけじゃないか。で、トカゲさんが鳥肌モノなことやってるから、思わず隠れちゃったんだよ。寒いよなあ・・・・・・トカゲさんって、あんな可愛いキスできちゃうタイプだったんだ?ああ、それとも遠慮してるの?ユリウスに」

 いつにも増して突っかかってくる態度の男に、イラだちが募る。
 アリスと恋人になってからというもの、この男の八つ当たりは倍に悪化した。本人曰く「ユリウスが大事にしていたものを奪ったのが許せない」らしいが、そんなものは詭弁だろうと正直思う。

 一見すれば時計屋に依存しているようにしか見えないが、この男はアリスにも充分依存している。
 依存というか・・・・・・同じものを求めている、とでも言うのだろうか。
 恋と定義していいかどうか悩むくらいに、歪みまくった執着。厄介な迷子騎士は自分の感情を時計屋のためという大義名分に変えて、俺に突っかかってくる。
 ・・・・・・それが気に食わない。


「アリスは、ユリウスのところの子だ。いつか時期がくれば、トカゲさんのところからなんてすぐ離れていく。俺と一緒に、ユリウスのところに帰るんだよ。また、3人で仲良くやってくんだからさ・・・・・・邪魔しないでくれないかな」
「はっ、自分のことさえ侭ならないガキが何をほざくと思えば・・・・・・くだらないな。俺はアリスを手放さない。何があっても・・・・・縛り付けてでも、だ」
「ああ、そうだね。そういう方がトカゲさんらしいよ。あんな可愛らしいキスしているような生温いような男なんて、斬っちゃいたくなるぜ。アリスにいい風に見られたいとか思ってるんだろうけど、似合わないよ。あんな優しさ、トカゲさんがやっても気持ち悪いだけだからさ・・・・・・見せ付けないでくれない?」


 そんなこと、言われなくても知っている。
 俺だってたまに不思議で仕方ない。あんな似合わない優しさが、俺のどこから生まれるのだろうと。
 昔の大嫌いな自分。あの頃の本性が変わっていないことくらい、一番自分が気付いているのだから。

 それでも。アリスを前にすると自然とそうしたくなる。
 なるべくなら傷つけたくないと・・・・・笑顔を曇らせたくないと願う相手ができてしまったことに、他ならない俺自身が、一番信じられない。

「お前にどう思われようと構わないが・・・・・・俺からアリスを奪うというなら本気で来い。いつでも相手をしてやる。時計屋も・・・・・お前も」
「へえ、じゃあ今すぐ本気で相手してよ。ちょっとイライラしててさ、鍛錬して気を紛らわしたかったんだよ・・・・・・ねっ!!」

 言うなり斬りかかってきた大剣をナイフ一本で受け流す。
 毎度毎度のことながら、人の都合も考えずに鬱陶しいクソガキだ。こちらは仕事で手一杯、休憩も恋人との時間も満足に取れないというのに。
 考えてみれば引越しがあってから延々、この存在迷子騎士には理不尽な八つ当たりで邪魔されてばかりだった。・・・・・・ここらで本気で消しておいても、問題はないかもしれない。

 自然と性質の悪い笑みが口元に浮かぶのを感じた。
 もう一本のナイフを抜き取り、相手に向かって振りぬく。皮一枚のところで交わされたが、わずかに散った紅にざわりと心が波打つ。
 結局、自分の本性はこちら側なのだと思い知らされる。誰かを傷つけ、何かを蹴落として奪うことに愉悦を覚える獣の高揚感。

 ・・・・・・彼女は知らなければいい。知ってほしくない。
 傷つけ傷つくことを厭う優しい少女。例え彼女がそれを望まないのだとしても、安全な鳥かごに捕らわれて何も知らずに愛でられていてほしいと願うのは、男の、大人の、エゴにすぎないのだとわかっていても。


 どうか本当の俺のことなど、見ないままでいて。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【年下カレシ その4】へ
  • 【貴方中毒(舞踏会A後、ボリアリ)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【年下カレシ その4】へ
  • 【貴方中毒(舞踏会A後、ボリアリ)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。