スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←愛の証(ハートの国、ボリアリ) →震える唇で紡ぎだした音は無情にも届かなかった(ハートの国、ボリアリ)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【愛の証(ハートの国、ボリアリ)】へ
  • 【震える唇で紡ぎだした音は無情にも届かなかった(ハートの国、ボリアリ)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ネオロマ」
遙かシリーズ

恋の謎かけ(遙か3、ヒノ望)

 ←愛の証(ハートの国、ボリアリ) →震える唇で紡ぎだした音は無情にも届かなかった(ハートの国、ボリアリ)
 それは愛しい妻からの挑戦状。

『ヒノエくんへ  I love you』

 薄桃色の紙に、たどたどしい字で書かれた謎の羅列に、熊野別当は不思議そうに首を傾げた。



恋の謎かけ



「・・・・・・一応聞いとくけど、書き損じってわけじゃないね?」
「違うよ!そ、そりゃあ・・・・・・まだやっぱり下手ではあるけど・・・・・・・」

 目の前にちょこんと座る奥方は、自分の字の下手さに自覚しているのか、申し訳なさそうにヒノエの持つ和紙を見やる。

「いや、望美は随分と上達したよ。オレの姫君は努力家だからね。この分だと、あっという間に名筆家でさえ舌を巻く、すばらしい筆跡を書けるようになるさ」

 そう言ってやれば、おおげさだよと照れたように笑うけれど、実際彼女はよく努力していると思う。

 源氏の神子として戦場に立ち、毅然とした中に普通の女の子の部分を持った望美に恋をしたのはヒノエだった。最後の戦いが終わった後、自分の傍に残ることを選んでくれた彼女を攫うように熊野へと連れ帰り、祝言をあげた。
 初めはそれこそ読み書きが一切できない状態だったし、慣れない環境や風習に戸惑っているようだった。だけど彼女は文句一つこぼすことなく、ヒノエが惹かれてやまない花の笑顔で「早くヒノエくんの役に立てるようになりたい」と言って、和歌や習字、礼儀などを一生懸命学んでいた。
 そうするうちに、少しずつ彼女も熊野での生活に慣れ、祝言から1ヵ月経った今、基本的なことをある程度まで1人でできるようになっている。
 ともに歩んで行くことができる女。
 それがヒノエの望んだことだったが、望美は彼の想像を遙かに越えてくれる。下手をすれば置いていかれてしまいそうで、気を抜いてなんていられない。そしてそのことが、何よりも心地いい。愛しくて愛しくて仕方のない少女。

 そんな彼女が休日の昼下がり、ヒノエに向かって差し出した一枚の紙。
 「ヒノエくんにね、お手紙書いたんだよ」という可愛らしい笑顔とともに出された和紙には、しかし謎の羅列が記されていたわけで。


「『ヒノエくんへ』までは読めるんだけどね。あとが・・・・・ちょっとわからないな。何かの謎かけかい?」
「う~ん、ヒノエくんにとってはそうかもね」


 首を傾げるヒノエを見るのが嬉しいのか、望美は楽しそうに笑う。
 それがほんの少し悔しくて、何がなんでも理解してやろうとヒノエはわざと余裕の笑みを浮かべて望美との距離を縮めた。

「オレにとっては、ってことは姫君にとっては謎でも何でもないわけだ」
「そうだね。それはわたしの世界の言葉だよ」
「望美の世界の・・・・・・・それじゃあ、不思議なわけだ。オレの天女はいつも、神秘的な言動でオレの心を甘く乱すからね。それで?今回はどんな言葉でオレを狂わせてくれるの?」

 女ならば誰でも思わず赤面してしまうほどの妖艶な微笑を浮かべ、ヒノエはそっと望美の白い頬に手を伸ばす。
 指先で優しく頬をなでながら、口を耳元に近づければ望美の顔が一気に赤く染まる。
 夫婦となっても相変わらず初々しい反応を返す妻に満足そうな笑みを零し、すっかり赤くなってしまった耳に口付けたままヒノエは囁いた。

「ね、読んでみせてよ」
「えっ!?」
「オレは読めないんだからさ、せめて姫君の口で伝えてくれないかな。これは何て読むのか。どんな音でこの文字を綴るのか・・・・・・・・」

 この麗しい唇で、可憐な声で。
 オレに教えて?

 頬をなでていた手で触れるか触れないか程度に、望美の唇に指を這わす。
 下から覗き込むようにして翡翠色の瞳を上目遣いで見つめれば、赤くなっていた顔がさらに赤くなった。

「~~~~~~~~~っ!!」
「姫君?」
「い、言わなきゃダメ・・・・・・?」
「オレはいつもお前に口で伝えてるだろ?音にしてもらえれば、もしかしたら理解できるかもしれないじゃないか」

 確かに。ヒノエは彼女がわからないような和歌で想いを告げてくることが多いが、紙に書いて渡したりしたことは一度もない。
 まともに字を読めない望美を思ってくれてのことだろう。もし紙に書かれて渡されたとしても、何が書いてあるのかを解読するのにきっと1日近くかかってしまう。

「・・・・・・・・口にしてもわからないと思うけどなあ・・・・・・・」

 それでも言わなきゃダメかと、望美は視線で訴える。
 が、彼はニッコリと、そして有無を言わせない笑顔で。

「オレを甘く見ないでほしいね。望美の可愛らしい唇から紡がれた言の葉をオレが理解できないことなんてあるわけないだろう?」

 そう言われてしまうと、望美の反論する余地はない。
 これ以上戸惑っていれば、実力行使にでてくる可能性が非常に高い。

(だからって・・・・・・やっぱり言うのは恥ずかしいよ~~~~!!!)

 聞いているヒノエはきっとわからないだろうけれど、言っている望美はかなり恥ずかしい。何でこんなことになるのかなあ、と望美は内心頭を抱えた。
 ただ、ヒノエにいつものお返しをしたかっただけなのだ。自分ばっかりわからないのは悔しくて。ヒノエも少しは悩めばいいんだと思って。そして英語で書いた手紙を渡してみたのに。


「ほら、望美。あんまりオレを焦らさないでくれないか?」

 ヒノエの手が腰に回ったことに気がついた望美はとっさに身を引こうとしたが、わずかな抵抗はあっさりと彼の腕に封じられる。
 こうなったら彼が離してくれないのは、これまでの経験上からよくわかっている。抱きしめられて逃げ場をなくした望美は、観念したようにヒノエの肩口に顔をうずめた。

「・・・・・・・ラ・・・・・・・ユー・・・・・・・」
「聞こえないね。もっと大きな声で言ってくれないとわからないよ」

 意地悪そうに笑ったヒノエの言葉に沸騰寸前なほどに顔を赤らめた望美は、半ばやけくそ気味に叫んだ。


「アイ・ラブ・ユー!!!!!」

「ふうん。あいらぶゆー、ね」


 納得したように何度か繰り返したヒノエの腕から逃れようと、望美は少し暴れる。
 わかっていないで繰り返しているのだろうが、耳元で何度も繰り返されると本当に言われているようで恥ずかしくてしかたない。

「ほら、わかんないでしょ!!もういいから離してってば!!」
「ふふ、そんなに顔を赤くして。この言葉はそれほどまでに大胆な言葉なのかな?だとしたら嬉しいねえ。望美は言うのもはばかられるほど熱烈な言葉をオレに送ってくれたわけだ」
「な、そ、そういうわけじゃ・・・・・・・じゃなくて、も~~~~~離して!!」
「・・・・・・・望美」

 照れ隠しにヒノエから離れようと暴れる望美を軽く押さえつけ、ヒノエが優しく名前を呼ぶ。
 からかうような調子から変化した彼の声に、望美は一瞬抵抗をやめた。

―――次の瞬間、ふっとヒノエの綺麗な顔が近づき、額に触れるだけの口付けが落ちた。


「          」


 唇が離れる瞬間、この上なく優しく囁かれた言葉に翡翠の瞳が丸くなる。
 柔らかい日差しに照らされた紅い瞳が細められ、その顔に年相応な少年らしい微笑が浮かんだ。

「な、んで・・・・・・・?」
「姫君があまりに可愛い顔して言ってくれるものだからね。きっとそうだと思ったんだけど・・・・・・・違ったかい?」
「ちがわない、けど・・・・・・・・まさかわかっちゃうなんて・・・・・・」
「オレはね、望美のことなら何だってわかるんだよ」

 冗談めかして告げられた言葉はどこまでも優しくて、いとおしげで。
 望美は思わずそっと彼の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きついた。

「もう・・・・・・・敵わないなあ」
「いいね。こういう恋の謎かけをされるのもさ」
「・・・・・・・今度はもっと難しいの出題してやるもん」
「それは楽しみだ。いつでもうけてたつよ」

 次もオレの勝ちだろうけどね。そう自信たっぷりに返された言葉が少し悔しかったけれど、何だかひどく満足な気分だった。
 ヒノエに負けるのは悔しいけれど、悪い気分じゃない。

(でもやっぱり、負けっぱなしは悔しいから・・・・・・・・・)

 背中に回していた手をパッと外す。
 少し距離の開いた温もりにヒノエが不思議そうに覗き込んできた隙をついて、軽くチュッと唇をヒノエのそれに押し付けた。
 思わぬ不意打ちに緩んだヒノエの腕から素早く逃れて立ち上がる。珍しく目を丸くして固まる愛しい夫の姿に満足感を覚え、照れくささで火照った顔をそのままに望美はとびっきりの笑顔を浮かべた。


「のぞ・・・・・・・・」

「正解したから、ご褒美!!」


 そう叫んで軽やかに部屋を飛び出していった望美の足音を聞きながら、ヒノエは口元を覆った。


「やってくれるよ・・・・・・・・」


 そう呟いたヒノエの顔は、先ほどの望美と同じくらい赤に染まっていた。



『ヒノエくんへ   愛しています』





終わり
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【愛の証(ハートの国、ボリアリ)】へ
  • 【震える唇で紡ぎだした音は無情にも届かなかった(ハートの国、ボリアリ)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛の証(ハートの国、ボリアリ)】へ
  • 【震える唇で紡ぎだした音は無情にも届かなかった(ハートの国、ボリアリ)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。