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「QuinRose」
現代の国のアリス(現代パラレル)

番外編 Bitter WhiteDay1(ボリアリ、シリアス)

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 彼は浮かれていた。
 今日はホワイトデー。恋人達の日、第二段とでも言うべき日。
 そんな日に意中の彼女をデートに誘うことに成功したのは、もはや奇跡と言ってもよかった。

 何と言っても、とにかく彼女はモテる。他の並みいるライバル達を出し抜いて今日の約束を取り付けた時点で、脈アリの予感さえも感じた。
 普段はあまり服装やなんやらを気にせずにマイペースを貫くが、今日は特別だ。
 彼女が「マズイ」というから、猫耳は帽子をかぶって隠したし、尻尾だって何とか工夫して隠してみた。微妙にバランス感覚が取りづらいが、これくらいで彼女がデートをしてくれるなら安いものだ。彼からすれば少し不思議な「現代」という世界にあわせて、服装も「普通」らしさを目指してみた。
 ・・・・・・ファーも、あまりに目立つ目立つといわれたから、今回だけは会合などで使っていた黒のファーの方にしている。

 ポケットにそっと手をやる。彼女へのプレゼントも、忘れていない。
 喜んでくれればいい。きっと、似合うだろうから。

 嬉しさでにやけそうになる顔を堪えながら、彼は待ち合わせの場所へと向かう。
 ・・・・・・・が、そこで見た光景に、彼の足は止まった。





「・・・・・・ブラッド。私、待ち合わせしてるんだけど」
「ああ、そのようだな。これからデートというわけか。まったくあのおチビさんも抜け目がないな・・・・・・こんな日にお嬢さんを独占とは。猫は意外とすばやいから、つい出遅れてしまった」
「なんでボリスと待ち合わせしてるって知ってるのよ」
「ただ風の噂に聞いただけだよ。どこぞの猫が、まんまと抜け駆けを果たした・・・・・とね。いいじゃないか。待ち人が来るまでの間、私にも付き合ってくれ」

 けだるげに笑ってみせる横の男を軽く睨みつける。待ち合わせの場所である駅前の広場に唐突に現れ、当然のようにアリスの隣に腰かけたブラッドは特に何をするでもなく、彼女にあれやこれや話しかけたりちょっかいをかけたりを繰り返していた。
 そうされているとひどく微妙な気分になる。この「現代」でのブラッドは、いつもの奇抜な帽子や格好をしていないことが多い。元カレと過ごしているような錯覚に少し陥ることもあり、何だか居心地が悪いのだ。

 それにしても。

 風の噂などと言っていたが、アリスは今日ボリスと出かけることを誰にも言ってはいない。もちろん、待ち合わせ場所のことも。
 ・・・・・・ブラッドはただの偶然だと主張しているが、とても信じられない。どこから聞きつけたのかは知らないが、偶然だというならさっさとどこかへ行ってほしい。ボリスが来たら、なんだかものすごく微妙な空気が流れそうだ。

 ふとこのホワイトデーデートを約束した時のボリスの顔を思い出す。
 本当に嬉しそうに、幸せそうに微笑んでいた表情。
 なぜか、あれを悲しませたくないなとアリスは思った。

「私はこれから忙しいの。用事があるならさっさと済ませて」
「やれやれ、つれないお嬢さんだ」

 わざとらしく溜息をついた後、ブラッドはぽんと赤い包みと可愛らしいラッピングがされた小箱をアリスに手渡した。
 咄嗟にブラッドを仰ぎ見ると、開けてみなさいと促される。
 赤い包みを開いてみると、そこには一冊の本が入っていた。

「わあっ・・・・・・!!」
「君が読みたがっていた作者の最新作だ。そちらの箱はチョコレートだよ。なかなか美しい形のチョコレートでね。家に帰ってからでも見てみるといい」
「もしかしてこれ、ホワイトデーの?」
「ああ。お嬢さんからの贈り物に対する、ほんの心ばかりの返礼だ。気に入ってもらえると幸いだが?」
「ええ、すごく嬉しいわ。ありがとう、ブラッド!!」
「それはよかった」

 軽く肩をすくめてみせたブラッドが、一瞬ちらりと後方に視線を向ける。
 それには気が付かないまま、アリスは思わぬ贈り物に口元を緩めた。ちょうど読みたかった本が手に入った嬉しさで、自然と口調も弾んだものになる。


「礼なら・・・・・・」


 不意にブラッドが笑みを浮かべる。
 何かを企んだような笑みに危機感を覚えるよりも早く、ブラッドの顔が近づく。唇の脇、ぎりぎりアウトのあたりにキスをされ、アリスの思考は一瞬停止した。

「こちらの方がありがたい」

 にっと性質の悪い笑みを浮かべたブラッドを殴りつけるより早く、彼はひらりと身をかわして去って行く。
 こちらを振り向かないままにひらひらと片手を振られ、アリスはやり場のない怒りでにらみつけた。よりにもよってこんな人通りの多いところで、なんということをしてくれるのだあの男は。
 今度あったらにんじん料理を押し付けてやる!と地味な仕返しを決意したアリスの腕が、唐突に引っ張られた。


「アリス」
「ぼ、ボリス!?」


 いつの間に来ていたのか、背後に立っていた見知った人物に驚く。
 帽子を被り、いわゆるパンク系の黒い服を着たボリスの姿に、アリスは一瞬見惚れた。普段は邪魔くさいと思っていた黒いファーもその格好だと大して違和感がないのが不思議だった。


「・・・・・・・・来て」


 痛いくらいの力で引かれた腕に、思わず眉をよせる。
 文句を言おうとした言葉は、表情のないボリスの瞳の前に消えうせる。有無を言わせない迫力のある態度に、アリスは大人しく引っ張られるままボリスの後をついて行くしかなかった。

 見られたんだろう、とは考えずともわかった。
 何故か罪悪感いっぱいの気持ちになって、そんな自分の心情にアリスは混乱する。ボリスとは恋人同士でもなんでもない。友達というには近すぎる関係だが、それでも・・・・・・恋人じゃない。
 恋愛感情なんて考えたくもなかったのだ。
 好きか嫌いかで言えば、間違いなく「好き」だ。ボリスに対して、少し違う感情があるのも認めている。けれどそれが「恋愛」かどうかなど、アリスは知りたいとも思わない。

(・・・・・・・でも、もうダメかもしれない)

 これから何かが変わるようなそんな予感がした。
 知らないフリもできなくなるような、決定的な何かが起こる・・・・・そんな気がした。





 少し行った先の路地裏の壁に乱暴に押し付けられ、小さく息を止める。
 顔のすぐ傍にボリスの両手が置かれ、逃げられないようにさせられる。息遣いを感じるほどに間近に迫ったボリスの顔は、苛立ちを堪えているようだった。

「・・・・・・・帽子屋さんと何してたの」
「話してただけよ」
「へえ?話してただけで、キスするんだ。あんたは」
「あっ、あれは!!」
「キス、だよね」
「・・・・・・・・・・そうね。キスってことになるのかしらね、あれ」

 詰問する口調に、アリスの頭の芯も冷えていく。
 言い訳をしてもボリスは聞き入れてくれないだろう。そもそも、言い訳をする必要もない。いろいろな言い分はあるにしても、ブラッドにキスまがいのことをされたのは事実だ。
 そう思って肯定したのに、ますますボリスは不満げに眉をよせた。

「認めるんだ?じゃあ何、俺との約束の前に帽子屋さんと逢引の約束してたってこと?それで俺に見せ付けてやろうって?」
「違うわよっ!!」
「どう違うんだよ。あんなに嬉しそうな顔で、帽子屋さんからの贈り物受け取って・・・・・・・あげくにキスしてて。あんたとデートできるって一人で浮かれてたのは、俺だけってわけだよね。なにそれ、俺バカみてえじゃん」
「だから違うって言ってるでしょ!!」

 苛立ちのままにアリスは怒鳴りつけ、ボリスを睨む。とんだ勘違いだ。アリスだって、ボリスと出かけられるのを楽しみにしていた。あんなに嬉しそうな顔をしてくれるなら、二人きりっていうのも悪くないと約束した時に思った気持ちは本当だ。
 それさえも否定して欲しくはない。

「でも・・・・・・バレンタイン、俺以外にもチョコあげたのは事実だろ?」
「そ、れはそうだけど・・・・・・」
「俺以外の男に、チョコあげて。俺以外の男からのお返しに、あんなに嬉しそうに笑って。・・・・・・・俺がどんな気持ちでいるか、わかんないの?」

 唇が触れそうなほどの位置で囁かれた言葉に、アリスの心臓が跳ね上がる。
 妙に呼吸が苦しくなって、バカみたいに頬が熱い。こんなのはおかしいのかもしれない。嫉妬されて、こんなに・・・・・ドキドキするだなんて。


「っ、ぼ、ボリスには関係ないじゃない!!私達、恋人同士でも何でもないんだから、ボリスにいちいち言われたくないっ!!!」


 気が付いたら、咄嗟にそう叫んでいた。
 頭がぐるぐるして、何も考えられなくなる。自分の気持ちに振り回されて、わけがわからなくなって、自棄気味な気持ちで胸がいっぱいになる。



「へえ・・・・・・・?」



 スッ、と。
 空気が冷えた気がした。


「関係ない、か・・・・・・そうだね、俺には関係ないかもね」
「ボリス?」


 次の瞬間、抱えていたブラッドからのプレゼントが乱暴に叩き落とされる。
 乾いた音を立て、赤い袋と小箱がコンクリートの地面に転がった。あまりのことに、アリスは目を丸くしてそれを見つめ、すぐに怒りに満ちた瞳でボリスをにらみつけた。

「何するのっ!?」
「俺には関係ないんだろ?ならどうでもいいじゃん、俺のことなんて。俺も・・・・・・もう考えてやらない、あんたの気持ちとか。・・・・・・嫌われたくないと思ってたけど、もうどうでもいい」
「ぼりっ・・・・・・・やっ、んぅ!?」

 強引に肩をつかまれ、壁に強く押し付けられたと思った瞬間にキスをされる。
 優しさのカケラもない行為に、アリスは必死で抵抗しようとしたが、彼の体はビクともしない。


「優しくして、気遣って・・・・・・それで他の奴に奪われるくらいなら・・・・・」
「ふ・・・・・・ぼ、りす・・・・・はなし、てっ・・・・・!」
「嫌われてでも・・・・・・奪ってやるよ」


 ぞくり、と体の奥が震えるのをアリスは感じた。
 本格的におかしい。
 こんな場所で。いつ誰が通りかかるかもわからないような場所で、無理矢理キスされているのに・・・・・・それを嬉しいと、やめないでほしいと、どこかで思っている自分がいる。

 こつん、と微かな。
 けれど物悲しく響いた音に、少しだけアリスは視線を向けた。
 涙の滲んだ視界の端に、物悲しく転がるピンク色の小箱。


 ・・・・・・・何故だろう。
 それが、ボリスからの贈り物になるはずのものだったろうと、アリスは直感した。


 彼が故意に落としたのか、それとも偶然に落ちてしまったのか。
 その可愛らしい小箱は、ボリスによって無残に踏み潰された。
 潰れた箱の隙間から、きらきらと小さく輝く銀色の何かが見えた。それはブレスレットかネックレスか。もう今となっては、わからない。
 送り先が迷子になったまま、贈り物は寂しく路地裏に転がっている。

 ぽろぽろと涙が零れる。激しいキスに抵抗を徐々に奪われながら、アリスはただただ涙した。
 何が悲しいのかわからない。何が苦しいのかわからない。
 ただもう、後戻りできないことだけは知ってしまった。



 こんな時になって、気が付いた。
 ボリスのことが、こんなにも好きになっていたと。



 動き始めた恋心は、痛いだけの口付けとその延長の行為さえも受け止めて。
 それでも心は悲しくて、交わらない恋情が声にならない悲鳴をあげる。
 今更言えるわけがない。言っていいかもわからない。


 あなたのことが、好きですと。


 出口の見えない恋心。
 行き着く先の見えないまま、彼らの「現代」の恋は、ただただ加速していくだけ。





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