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「QuinRose」
アリスシリーズ

エスケープのその後(ハートの国、ゴーランド×アリス)

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 とっさに動いた腕をどうしたらいいかわからない。
 頭がぐるぐる、する。わけがわからなくなって、軽くパニック状態になる。
 驚きとショックが綯い交ぜになったような顔を見た瞬間、許容量を越えた頭がパンクしたみたいになって、心臓がひどく痛くなって。
 気付けば弾かれたみたいに、走り出していた。



「で?なに、どーしたの。いい加減、何か言ってくれないとわかんないんだけど」

 ボリスのふさふさしたピンクの尻尾が、慰めるみたいに私の背中をぽんぽんと叩く。ふかふかとしたソファの上、クッションと膝を抱えながらうつむいていた私は、ようやく顔を上げた。
 泣いていたわけじゃない。自己嫌悪に落ち込んでいただけ。それでも泣きそうだ。
 もう一度深い溜息をつくと、「幸せが逃げちゃうぜ~」なんて言われた。

「もう半分逃げてるわよ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・なに、おっさんとそんなにひどいケンカでもしたの?」

 ゴーランドのことが出た途端、体が勝手にびくりと反応してしまった。
 ボリスにはゴーランドが原因だなんて一言も言っていない。むしろ、彼はこの部屋へ私を案内してからはただずっと私の横に寄り添うだけで、会話なんて全くしていない。

「だって、あんたがそんなに落ち込むのなんて、おっさん絡みしかないだろ?」

 そう言った後で、「俺のことでもそれくらい悩んでほしいよ」と軽い口調で続けるボリスにちょっと笑みが零れる。
 少しだけでも笑ったら、なんだか気分が軽くなったような気がする。休んだおかげか、頭も大分整理がついて落ち着いた。

「ありがとう・・・・・・・・ボリス。あなたがいてくれて、助かったわ」
「どういたしまして。おっさんが何したか知らないけど、あんたにあんな顔させるなんて最低だね。なにやらかしたのさ、あのおっさん」

 ボリスは心配半分、興味半分といった表情で私を覗き込んでくる。彼にまで心配をかけてしまうなんて、そんなに私は悲痛な面持ちをしていたのだろうか。
 ゴーランドの部屋から飛び出し、遊園地方面まで逃げてきた私に声をかけて止めたのはボリスだった。あまりにも表情がいつもと違っていたので、何事かと思ったらしい。
 全力疾走して息が上がり、ものすごい自己嫌悪と継続するパニック状態でろくに話もできない状態の私を見かね、ボリスはそのまま私の部屋となっている客室へと連れて行った。

 そして今に至るわけだが、今回は本当にこの猫に助けられたと感謝している。

 あのままろくに考えもまとまらない状態で外へ飛び出して、一人でうじうじ悩むよりはマシだろう。
 ボリスは私が落ち着くまで何をするでもなく隣に座っていただけだったけれど、人の気配にわりと早く落ち着くことができた。

「・・・・・・・・ゴーランドのせいじゃないわ。私が悪いのよ」

 落ち着くまで何も聞かずにいてくれた礼・・・・・・・というわけじゃないけれど、一応ボリスには話しておくべきかと口を開く。話すには結構恥ずかしい内容だけど、ここまで心配かけてしまったのだから。
 そんな風に理由付けして、単に私が楽になってしまいたいだけなのかもしれないけど。
 そう思うとまた自己嫌悪に陥りそうになる。私はどうしてこうもズルイ人間なんだろう・・・・・・・・・

「いつもみたいにゴーランドの部屋を訪ねて、二人で適当に話してたの」
「うんうん」
「そしたらなんかその・・・・・・・・・・そういう雰囲気になって・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・うん?」
「ビックリして・・・・・・・思わず、逃げちゃったのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 うつむきながら何とか言った言葉に、ボリスが呆気にとられているのがわかる。まじまじと向けられる視線が痛い。
 そう、逃げてしまったのだ、私は。
 ゴーランドと今まで甘い空気になったことは何度かある。でも今回は違った。抱きしめるだけとかキスだけじゃない、その先まで行ってしまいそうな空気。
 それを感じた途端、いつも優しく安心できるはずのゴーランドが急に怖くなった。
 自分を見る瞳が違うものに思えて、何が何だかわからなくなって。

 気がついたら、抱きしめられていた腕を思いっきり振り払っていた。

 驚いていたボリスの表情が、段々と呆れに変化していく。男側からしてみれば、私のしたことはひどいことなんじゃないかと何となく思った。
 私はゴーランドが好き。ゴーランドも私を好いてくれるのが、痛いくらいよくわかる。だから、いつかそういう関係にもなるだろうなって漠然と思っていたし、それでもゴーランドならいいかとか以前の私が聞いたら殴り飛ばしたくなるくらいの考えまで抱いていた。
 それが、実際にそういう状況になってみたら、コレだ。
 ボリスが呆れるのもよくわかる。

「あんたら・・・・・・・・・あれだけラブラブなオーラ振りまいてるくせして、まだヤッてなかったのかよ・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・悪かったわね」
「別に悪いって言ってないだろ~。てかさあ・・・・・・・・・・アリス、愛されてるな」

 驚いた。
 まさかそんなことを言われるとは思っていなかったから、とっさに目を丸くしてボリスを見てしまう。
 「やってらんねえ」とばかりの呆れた表情を浮かべ、ボリスは肩をすくめた。

「だって、その気になればおっさんがあんたを抑えつけるなんて簡単だろ?こういう言い方ってアレだけど、無理矢理そのままってこともできたわけだ。なのにおっさんは、そうしなかった。それってさ、アリスの意思を尊重してくれたってことじゃん?すっげー大事にされてるよ、あんた」
「で、でもゴーランド、すっごく傷ついた顔してたし・・・・・・・・・!!」

 そう言った途端、あの時のゴーランドを思い出してまた胸が痛む。
 あんな表情させたいわけじゃなかった。謝りたかったのに、何を謝ればいいのかもわからずに、ただあの表情を見ていられなくて、いつもと違って見えるゴーランドが少し怖くて、そのまま逃げ出してしまった。
 そんな最低な自分に嫌気がさして、頭がひどく混乱した。

「そりゃあ・・・・・・・・好きな女に拒まれたのが、さすがにショックだったんじゃねえ?」

 続く言葉に、やっぱりとまた自己嫌悪の泥沼に落ち込みそうになる。
 一度深みにはまるとなかなか抜け出せないのが私という人間だ。


「でも、おっさんはそんなことでアリスを嫌いになったりしないと思うぜ」


 深みに完全にはまりこむ前に、ボリスがうまく掬いあげる。
 また驚いた顔でボリスを見てしまった。今日はボリスに驚かされっぱなしだ。

「だって、あんたは今回のことでおっさんを嫌いになったりした?」

 呆れを通り越した苦笑で問われ、とっさに勢いよく首を横に振った。
 嫌いになるわけがない。
 少しだけ驚いて怖いと思ってしまったけど、ゴーランドのことを嫌いになったわけじゃない。ただ、応えられなかった自分に嫌気がさしただけ。

「だろ?それと同じ。そんなことくらいで嫌いになるような男だったら、俺がとっくにアリスを掻っ攫ってるよ」

 冗談なんだか本気なんだかわからない言葉を交え、ボリスは仕方ないなあとばかりに私の頭をぽんぽんと優しく叩く。

「自信もちなよ。あんたは愛されてる」

 その言葉がストンと胸に落ちた。
 夢の世界。私に甘い、いつかは覚める世界。
 それなのに・・・・・・・・・どうしてこんなに嬉しいと思ってしまうんだろう。馬鹿みたいだ。こんなに弱い人間になったつもりなんてなかったのに。
 どうして私がゴーランドから逃げたのか、わかったような気がした。彼が怖かったからとかじゃない。この吐き気がするほど甘く優しい世界で、好きな人に嫌われることが怖かったんだ。


「・・・・・・・・・・ボリス、ありがとう。私、ゴーランドのところに行ってくる」


 愛したいと思う人がいる、愛してくれる人がいる。
 そんな確信がないと動けない私は卑怯。怖くて逃げたくせに、大丈夫だと思えたら戻って向かい合おうとしてみる私は卑怯。
 それでも・・・・・・・・・無性にゴーランドに会いたくなった。
 「いってらっしゃ~い」という呆れ混じりの声を背に、私は客室を後にした。





 ゴーランドはさっきと変わらず自室にいた。
 私が訪ねると、驚いた顔をしながらも中に入れてくれた。雑多な楽器が所狭しと置かれる部屋で、私とゴーランドはソファに並んで座る。少しだけ距離がいつもより遠い。

「あ~・・・・・・・なんて言ったらいいか・・・・・・・・・・スマン!驚かせちまった、よな?」
「ううん。私の方こそごめんなさい。何も言わずに逃げるなんて・・・・・・・ひどいことをしたわ」

 少し流れた沈黙をやぶったゴーランドに続き、私も謝罪の言葉を口にする。
 そう、ひどいこと、だ。
 拒絶された挙句、何も言わずに逃げられたら・・・・・・・・・・私だったら、ものすごく傷つく。好きな人ならなおさら。

「あんたが謝ることねえさ、アリス。もうちょっとあんたの気持ち考えてやれればよかったな・・・・・・・・・怖がらせたりして、本当に悪かった」

 悪いのは私の方なのに、本当にゴーランドは申し訳なさそうにうな垂れる。

 ―――あんたは愛されてる

 さっきストンと響いた言葉が思い出される。
 本当に・・・・・・・・愛されてるんだと実感できる。ゴーランドは私に安心をくれる。
 気まずくあいていた距離をそっと詰め、無精ひげの生えた頬に軽く口付けた。
 驚いて顔をあげるゴーランドにもう1回顔を近づけ、今度は唇にキス。
 年上なのに顔を赤くしてポカンとしている彼を可愛いと思った。


「・・・・・・・・・・・好きよ」


 あれだけ毛嫌いしていた台詞がするりと出るあたり、私も相当重症だ。
 でも彼を見ていたら何だか言いたくなった。さっきの私と同じように、嫌われたんじゃないかと怖がっているような雰囲気をもった彼を安心させたくて。


「大好き」


 途端、思いっきり抱きしめられた。
 ゴーランドの温もりと匂いが間近に感じられて、なんだか無性に嬉しくなる。

「あんたって・・・・・・・・・・どうしてこうも人を煽るのがうまいんだ」

 別に煽ってなんかいないわよ、という前に今度はゴーランドから唇を重ねられた。
 そっと目を閉じて受け入れると、それがさらに深くなる。



エスケープのその後



 今度はもう、怖くない。





End.
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