スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←トライアングル ラブシック(ブログ企画、ブラッド×アリス×エリオット) →re;present(ブログ企画、双アリ)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【トライアングル ラブシック(ブログ企画、ブラッド×アリス×エリオット)】へ
  • 【re;present(ブログ企画、双アリ)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

天邪鬼の甘え方(ブログ企画、エスアリ)

 ←トライアングル ラブシック(ブログ企画、ブラッド×アリス×エリオット) →re;present(ブログ企画、双アリ)
 不覚だ。

 隣で実に気持ちよさそうに睡眠をむさぼっている男を見下ろし、アリスは深々と溜息をついた。頭上に広がる空は、雲ひとつない青空。お昼寝には最適な光が降り注ぎ、鳥の声くらいしか聞こえない周囲はなんとも心地がいい。
 地面を覆う下草をそっと撫でる。
 森の奥、このような開けた場所があるとは知らなかった。ところどころに美しい花が咲く、開放感溢れる原っぱだ。人の手が入らずとも、自然はこんなに快適な場所を生み出すことが可能なのだと感じさせる。

(いや、ここがいい場所なのはすごくわかるんだけど・・・・・・なんで私、エースの迷子に振り回された挙句、こんなところで普通に昼寝しちゃってるのかしら)

 こんなピラピラした格好をしているが、アリスは見かけほど子供なわけではない。
 一応「年頃の女性」として分類されるはずだ。いくら友人だとは言え、男と二人きりになって一緒に仲良く眠りこけているのは・・・・・とてもじゃないが、淑女と言えはしないだろう。
 いや、元はと言えばエースが悪いのだ。
 エースが旅に行こうなどと言い出すのが悪い。人の忠告も聞かず、道なき道を進んでいくのが悪い。迷っている途中に偶然見つけたこの場所で、「折角いい天気だし、ここで昼寝していこうぜ!」などと有無の言わせない笑顔と一緒に言い出し、昼寝に付き合わせたのが悪い。
 あらゆる抗議をさらりと聞き流され、無理矢理原っぱのど真ん中で横にさせられて・・・・・・見上げた青空がとても綺麗で、吹く風が気持ちいいだなんて思っているうちに、ついうっかり眠ってしまっていたのだ。
 見たところ時間帯は眠る前と同じ昼の時間帯だが、どうなのだろう。
 どれくらい眠ってしまっていたのか、アリスには皆目検討がつかない。

(・・・・・・・そもそも、流される私が一番悪いわね)

 ついうっかり昼寝してしまったのは不覚だったが、他の要素についてはまだどうにかできそうなこともあったとアリスは小さく溜息をつく。
 嫌なら断ればいい。迷いたくないなら、ついていかなければいい。
 それをしないのは、アリス自身の意思だ。ならば、悪いのはエースじゃなくて、きっとアリスの方なのだろう。


「本当に・・・・・・なんで、放っとけないのかしらね」


 少しだけ体を動かし、エースの顔を覗き込んだ。
 眠った顔は幼く見える。いつもよりずっと。
 仮面のような爽やかな仮面も、狂気に似た赤をちらつかせて決して本心から笑おうとしない瞳も、笑みの形に歪められることの多い唇も。今はただ、静かに凪いでいるように思えた。
 その頬に一瞬触れようとして、すぐにアリスは手を下ろした。
 気配に敏感なエースのことだ。そんなことをしたらすぐにでも目を覚ましてしまうだろう。今だって、起きていない方がおかしいくらいなのだ。もしかしたらタヌキ寝入りでもしているのかもしれない。

(ありえるわね・・・・・)

 何かしたらエースの思い通りになりそうな気がして、アリスはふいっと顔をそらした。
 あのままもし手を伸ばしたとして、その先の展開が何となく想像ついてしまう自分が嫌だ。やっぱりそれも、流される自分が結局は悪いのだろうけれど。

 何をするでもなく、アリスはぼんやりと空を眺めた。
 エースを放っておけない理由が何かなんて、自分でもよくわからない。同情も愛情もない交ぜになったような、説明できない感情を口にするのは難しい。エースも、アリスが答えを出すことを多分望んでいないのだろう。

 クローバーの国になって、ユリウスと別れ別れになって。
 恐ろしく不安定になったエースを、ただ見ていられなくなった。彼の慰めになれるとは思っていない。ユリウスの代わりなど、アリスにできるわけがないと彼女自身理解していた。ユリウスと離れたことでエースが不安定になってしまったのだとしたら、「強い」が故の彼の歪んだ寂しさを癒してあげることができるのは、ユリウス以外にいないのだろう。・・・・・・彼はそんなこと、絶対に認めないだろうけれど。
 アリスができることなど限られている。もしかしたら、ないに等しいのかもしれない。
 それでもアリスは傍にいる。全てを受け入れるには、アリスには手の余る相手だと知っていても。彼女ひとりだけでは、エースという人間を支えてあげることなどできないであろうと確信していても。


 ・・・・・・・傍にいてあげるくらいしか、アリスにはできないだろうから。


 そこまで考えたところで、また思考が後ろ向きになっていきそうになり、アリスは気分転換に立ち上がろうと腰を浮かした。
 思いっきり背伸びをして、深呼吸でもすれば、少しはマシな気分になるかもしれない。それだけで気分転換になるほどには、いい天気だし、気持ちのいい場所だった。
 しかしアリスが立ち上がるより早く、後ろから回り込んできた二本の腕によって阻まれる。
 バランスを崩したアリスが後ろへ倒れこむが、華奢な体はあっさりと抱きとめられていた。すっぽりと包み込むように後ろから抱きしめられ、アリスの心臓が急速に高まった。

「え、エース・・・・・・?びっくりした・・・・・急に後ろから抱き着いてこないでよ!!」
「・・・・・・・・・」

 ぎゅっと込められた腕の力と、密着した背中越しの体温にアリスは顔を真っ赤に染めた。
 肩口に顔を埋めているせいで、エースの表情は見えない。首筋にエースの吐息を感じて、心臓がこれ以上ないくらいに早鐘を打つ。密着しているエースに勘付かれてしまいそうで、アリスは慌ててその腕から逃れようと体をよじってみるが、ビクともしない。



「・・・・・・・行かないでよ」
「エース?」
「どこにも、行かないで。アリス・・・・・・・」



 すりっと、どこか甘えるような仕草で、エースの顔が肩口へと押し付けられる。
 彼にしては珍しい、抑揚のない口調。淡々と紡がれる、感情のない声。
 そんな声を、アリスは一度だけ聞いたことがあった。何度目かの会合が行われた時、クローバーの塔の・・・・・・ドアだらけの階段で。あの時は確か、「好きだ」と言っていた。甘さも何もない、無感情な言葉だったけれど・・・・・・どうしてか、どんな言葉よりも真実に聞こえた、あの時と同じ口調。
 アリスからエースの表情は見えない。ただ寝ぼけているのか、それともこれが彼の本音なのか。

 わからないけれど。
 どんな言葉よりも行動よりも一番明確に・・・・・・エースに甘えられていると、感じた。

 何かを言おうとして、言葉が見つからず、アリスはただ沈黙した。
 代わりに、少しだけ自由になる片手を動かして、何とかエースの頭に軽く手を置いた。
 ぽんぽんと、子供を慰めるように撫でてやる。少しパサついた彼の髪が、指先をすり抜けていく。他にどうすればいいかなんてわからないが、下手な言葉より多分効果的であるような気がした。


「な~んてな!!」


 爽やかな明るい声とともに、エースが伏せていた顔をあげる。
 その表情はいつもと全く変わらない。まるで今までのは単なる冗談だと言わんばかりの表情を、アリスはじっと見つめた。

「ごめんごめん。なんか君がやたら難しそうな顔をしてるから、ちょっと驚かそうと思って」
「・・・・・・そうね、ビックリしたわ」
「ははっ、ごめんね?でも俺だってビックリしたんだ。寝起きに、いきなり君が深刻そうな顔してどっか行こうとしてる姿が飛び込んできたんだぜ。何か思いつめることでもあったのかと思うだろう。何かあったの?」
「ただちょっと気分転換に深呼吸でもしようとしていただけよ。それをあんたが勝手に勘違いしただけでしょ」

 ギロリとエースをにらみつけると、彼は悪びれもなく笑ってみせる。
 さっきのことには、互いに何も触れない。エースも自分から言わないし、アリスも自分から聞こうとはしない。前に進まない関係だ。いつまでも同じところで、ずっとくすぶったままダラダラと過ごして。
 エースと一緒にいると、アリスは迷子になっていくような気がする。
 不安なまま、ずっとずっとどこか迷っている・・・・・・正しい道を歩けないし、選べもしない。同じところをぐるぐると回っているような感覚を覚えることがあるのだ。

 アリス一人なら、ひょっとして迷子にならないかもしれないけれど。
 でも今のアリスは、それができない。迷子になると知っていて、エースの手を離していくことができない。

 ぎゅっと抱きしめられたままの手に、そっと触れる。
 冗談だと笑ってみせるくせに、エースはこの手を離してくれない。抱きしめたまま、どこかすがりつくように。それはまるで、強がりな子供が精一杯甘えているようにさえ感じて。
 アリスは軽く力を抜いて、エースの方へと寄りかかった。後頭部を彼の肩へと預けると、エースの顔がさらに間近に迫った。底なしの紅の瞳と、視線が絡み合う。
 背中越しに、チクタクと響く時計の音。
 そっと目を閉じると、アリスの心臓とエースの時計が静かに重なった。
 それと同時に唇に柔らかい感触が触れて、アリスは薄っすらと瞳を開ける。さっきよりもずっと近づいた距離に、エースの顔があった。

「・・・・・・・・・なに、いきなり」
「え?だって目を閉じたから、キスしてほしいのかなあ~って」
「あのねえ・・・・・・・」
「いいじゃないか。たまにはアリスに甘えてもらうのも面白いよね。素直に俺の方によりかかってくるなんて、君にしては珍しいよなあ。滅多にない機会だし・・・・・・甘やかしてあげるよ?」

 艶然と微笑むエースに向かって、これ見よがしの溜息をついてみせる。軽く睨んだところで意味がないと知っていても、そうせざるにはいられない。

 どっちが甘えているのやら。

 そんなこと言ったら、ろくな目には遭いそうにないので口には出さないけれど。


 アリスにユリウスの代わりはできない。
 エースの求めるものには、多分なれないだろうし、救ってあげることなんてできるわけがない。受け止めきることも支えきることもできないのだから。
 それでも・・・・・・・甘えられる場所くらいになら、なれたらいいと思った。
 十分すぎるくらいワガママな願いかもしれないけれど、エースにとってのほんの気休めになれるなら。
 もうそれで、きっと十分だ。

(仕方ない・・・・・・今日は、甘やかしてあげるとしますか)

 心の中でそっと苦笑し、アリスは再び目を閉じた。
 次に重ねられるキスは、先ほどより深いだろうことを予感しながら。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【トライアングル ラブシック(ブログ企画、ブラッド×アリス×エリオット)】へ
  • 【re;present(ブログ企画、双アリ)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【トライアングル ラブシック(ブログ企画、ブラッド×アリス×エリオット)】へ
  • 【re;present(ブログ企画、双アリ)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。