スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←幸せの約束(ブログ企画、ユリアリ) →Children Garden(ブログ企画、ハートの城&時計塔)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【幸せの約束(ブログ企画、ユリアリ)】へ
  • 【Children Garden(ブログ企画、ハートの城&時計塔)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

Red Rose Dream(ブログ企画、ビバルディ&アリス)

 ←幸せの約束(ブログ企画、ユリアリ) →Children Garden(ブログ企画、ハートの城&時計塔)
 アリスは困っていた。
 目の前には可愛らしくも美しい箱に収まった、食べるのも勿体無いようなバラを象ったチョコレート。もはや芸術作品といって遜色のない数個の高級菓子は、見ているだけで心を楽しませてくれる。
 これを彼女に贈ってきたのは、ビバルディだった。
 何でもクローバーの塔の領土ではバレンタイン真っ最中だったらしく、所用で冬を訪れていたビバルディがわざわざ選んで買ってきてくれたらしいのだ。
 「わらわからのバレンタインの贈り物じゃ」と艶やかな笑みとともに渡されたときは、アリスは心底驚いた。

 別にバレンタインに女同士で贈り物をしあうことはおかしなことじゃない。

 お世話になった人に贈り物を、というのがそもそもの趣旨の日なのだから当然だ。親愛の情を示す手段として、バレンタインに互いに贈りあうのは普通と言っていい。
 もちろんアリスもすぐに、ビバルディに贈り物を返そうと思ったのだ。
 が、タイミングの悪いことに。アリスがチョコをもらった次の時間帯には、なんと塔でのバレンタイン期間は終わってしまっていた。
 ・・・・・・結局、お返しの口実とタイミングを逃したアリスは、どうすればいいかとても悩んでいたりする。

(いや、別にお返しをするのに大した理由とかいらないかもしれないけど・・・・・・なんかバレンタインのお返しなのに、何もない日に贈ったりするとタイミング逃した残念さを感じるというか・・・・・・)

 どうしようかなあと溜息をつき、ベッドへと寝転がる。
 あんなに綺麗なチョコをバレンタインにもらっておいて、何も返せないのもふがいない。アリスだって、ビバルディにはいろいろとお世話になっている身だし、彼女を大切に思っている気持ちは同じだ。まあ、問題点も多々ある女性ではあるが・・・・・それでも嫌いになれないし、怖いとあまり思わない。
 自分にだけ見せる表情が、特段に優しくて愛らしい少女のようだと知っている。
 見惚れるほどに美しい女王の笑みを思い出しながら、いつの間にかアリスは眠りに落ちた。





「随分とまた、変なことで悩んでいるなあ、君は」

 すっかりお馴染みとなった夢の中の空間で、見知った夢魔の声に上を向く。
 ふわりと浮かびながら煙管をふかしたナイトメアが、心なしか呆れたようにアリスを見下ろしていた。

「悪かったわね、くだらないことで悩んでて。こっちは真剣なのよ」
「別にいいじゃないか。どんな理由であれ、女王は君からの贈り物なら喜んでうけとってくれると思うぞ?」
「・・・・・・・・」
「あー、はいはい。納得がいかないわけだな。まったく女心というのはよくわからない」

 紫煙を燻らせ、ナイトメアはアリスのすぐ傍に降り立った。
 眼帯で隠されていない方の瞳が、少しばかり楽しそうに細められる。

「仕方がない、私が君に協力してあげよう。ホワイトデーというのを知っているか?」
「・・・・・・確か、異国にそういう日があるのよね。バレンタインの対、みたいな感じの」
「さすが博識だな。そう、そのホワイトデーという日、実は3月14日なのだそうだ。3月といえば春、つまり君の滞在地の季節だろう?今日はホワイトデーだからと理由付けして、女王にお返しを贈ればいい」

 なるほど、とアリスは目を瞬かせる。思っても見ない考えだった。たまにはナイトメアも役に立つ提案をする。
 そんな心の声がバッチリ聞こえたらしいナイトメアがむっとした表情を浮かべたが、アリスは綺麗に無視をする。
 そもそも時間という概念が薄い世界だということは、結構な時間を過ごしてきて、アリスにもいい加減わかってきたことだ。今日が何日だとかはわからないが、住んでいる場所が春である限り、「今日がホワイトデーだ!」と言いはっても咎める人は誰もいないだろう。
 ・・・・・・微妙に納得できないところではあるが、終わってしまったバレンタインへの贈り物に拘るよりはよほどいい。

「あ、でもホワイトデーって女同士で贈り物ってしていいの?確かそのホワイトデーって、男女のどちらかがバレンタインのお返しをする日だって本で読んだような気がするんだけど」
「さあ・・・・・・さすがに私もその辺りまでは知らないな。そんなルールがあるのか?」
「うーん、どうなのかしら・・・・・・あんまり気にすることではないかもしれないけど」
「やれやれ、君は細かいな。仕方がない、特別だ」

 パチンとナイトメアが指を鳴らす。
 不意に空気が揺れた気がした次の瞬間、アリスの前には扉がひとつ佇んでいた。あのクローバーのドアのように話しかけてはこないが、唐突に現れたそれにアリスは思わず少し後ずさる。

「行ってみるといい。私が、君に面白い夢を見せてあげよう」
「・・・・・面白い夢?」
「ああ、滅多に見られないものが見られるぞ?」

 煙管で指し示されたドアを見つめる。
 ・・・・・・ナイトメアのことだから、多分命の危険はないだろうと納得し、アリスはドアノブに手をかける。ナイトメアが言う「面白い夢」が気になった。

 いってらっしゃい、アリス。

 そんな言葉を後ろに、アリスは扉を開けた。



 まず感じたのは、むせ返るような薔薇の匂い。
 ドアを開けると同時に包まれた強い風に目を閉じた瞬間、城でもよく感じる薔薇の香りに包まれた。風がやんで恐る恐る目を開くと、そこは一面の美しい薔薇に満ちた世界だった。
 入ってきたドアはもうない。アリスは、夕方の、赤薔薇だらけの庭に、ひとりで立っていた。


「アリス?」


 聞きなれないテノールに名を呼ばれ、振り返る。薔薇に包まれた庭に、絵画のように美しく佇む見知らぬ青年がそこにいた。
 やや紫がかった艶やかな黒髪に、少し中世的な美しい顔立ち、切れ長の瞳は冴えた紫色、口元にあるほくろがやたらと色っぽく見える。・・・・・・ブラッドに面差しが似ているが、彼とはまた違う。ブラッドとよく似た顔をしていた、アリスの元カレとも違う。
 ブラッドほどにはけだるそうではなく、もっと妖しい色香や残忍さを秘めているような・・・・・・・なんというか、そんな不思議な雰囲気の男性だ。赤を基調にした、センスのいい服装をしている。
 どこかで見覚えがあるような、ないような・・・・・・そんな不思議な感覚にアリスが戸惑っていると、青年が嬉しそうに笑って近づいてきた。

「夢魔もなかなか粋なことをしおる。わらわとアリスの夢を繋ぐとは」
「・・・・・・・・・・・」
「うん?どうかしたか、アリス。そんなに呆けた顔をしおって。よもや、わらわのことを忘れたと言うわけではあるまいな?いくら可愛いお前でも、そのようなことを言ったら首を刎ねてしまうぞ?」

 物騒な言葉のわりには、どこか拗ねた口調で、目の前の艶やかな美貌の男性がアリスを見下ろす。ぎゅっと握られた手が少し痛かったが、なんだかその行為はいじけてしまった少女のようで。
 見かけや声は違うが、このしゃべりかた、そして「首を刎ねよ」という言葉。
 それらには、覚えがありすぎるほど覚えがあった。


「・・・・・・・ま、まさか・・・・・ビバルディ?」
「?何を当たり前のことを言っておる。わらわ以外に誰がおるというのじゃ」


 当然とばかりに返された言葉に、今度こそアリスは絶句する。
 上から下までビバルディと名乗る「男性」を眺める。言われて見れば面影はあるし、納得もできるが・・・・・・予想外すぎて、なんと言っていいかわからない。

「なっ、ななななんで!!?なんで男になってるの、ビバルディ!!?」
「ああ、これか?知らぬ。夢魔の奴が勝手にそのような夢にしておるようじゃの」
「な、ナイトメアが!?え、ていうかどうしてそんなに冷静なの!?」
「冷静というか・・・・・・どうせ夢じゃ。何が起こっても不思議ではないのが、夢というもの。違うか?」

 そう言われればそうだが、そう簡単に受け入れられても困る。
 双子が大人になった時も驚いたが・・・・・・これはそれ以上の驚きだ。まさかビバルディが男になってしまうだなんて。
 握られたままの手の大きさに、アリスは落ち着かなく辺りを見渡す。見上げる視線の高さも体格も、優しく響く声も。何もかもが違うし、まぎれもない「男」だというのに、中身はビバルディだなんて不思議な気分だった。無駄にドキドキしてしまって、なんだか妙に落ち着かない。
 夢だとわかっていても、落ち着くまでにまだ少し時間がかかりそうだった。

「よいではないか、アリス。これは一夜の夢。楽しんだ方がよかろう?」
「そ、そうかもしれないけど・・・・・っ!」
「ならば、アリス。わらわと遊んでおくれ?折角わらわも男になっておることだし、少し違う遊びをするのも一興やも知れぬぞ」
「へっ!?」

 思いがけないほどに近くにビバルディの顔があって、アリスは顔を真っ赤にして固まる。
 女性の姿でさえ見惚れてしまうほど美しい顔立ちだったが、男の姿になっていると抗えない色気のようなものまで付属していて性質が悪い。
 慌てて距離をとろうとしても、がっちりと腰に手を回されて逃れられない。
 口紅を引いていないのに艶やかな唇が、ついっと上げられる様に視線を奪われる。どうしようもないほどにドキドキしてしまっている自分は、本気でおかしいかもしれないとアリスは思った。

「い、いや、私そっち方面には興味がないというか、倒錯の扉を開きたくないというか・・・・・・・!!」
「安心おし。今のわらわは男じゃからな。健全な関係性じゃろう?」
「そ、そうかもしれないけど、そういう問題でもなくてね!!?ちょ、び、ビバルディ、ストップ!!
 すとーーーーーーーーーっぷ!!!!

 今にも触れそうなところにまで唇が迫った瞬間、アリスは思わず叫んで・・・・・


 ・・・・・・・次の瞬間、勢いよくベッドから転げ落ちた痛みで、目が覚めた。


 思い切り打った腰をさすりながら、アリスは慌てて周りを見渡す。
 夜の闇に包まれ、間接照明が最小限の灯りで照らされたアリスの部屋は、寝る前と何一つ変わっていない。

「ゆ、夢でよかった・・・・・・・」

 未だにドキドキが収まらない胸を押さえ、赤い顔のままでアリスは溜息をついた。





 それから数時間帯後の夕方。
 自分なりに精一杯がんばったラッピングに包んだ手作りクッキーを持って、アリスはビバルディの元へ訪れた。比較的機嫌の良い時間帯を選んだのが幸いしたのか、それともこの前の夢を覚えていないのか、ビバルディはこの前の夢逢瀬のことを特に口にはしなかった。

「お前が、わらわのために作ったのか?」
「ええ。バレンタインのお返し・・・・・・その、ホワイトデーってことで」
「ホワイトデー?なんじゃ、それは」

 アリスの手作りクッキーを嬉しそうに受け取り、ビバルディは興味深そうに目を瞬かせる。
 そんな表情が可愛らしいと思いながら、アリスは簡単にホワイトデーについて説明した。あれからもう一度調べなおし、ホワイトデーはバレンタインにチョコをもらった男性が女性にお返しを返すイベントだと知った。
 ナイトメアがあんな夢にしたのは、アリスが「女同士でお返しをあげてもいいのか」と悩んだからだったろうが、どのみち、あの夢では意味のないことだったろう。アリスが男になっていたら、多少は意味のあったことだったかもしれない。
 まあ、それはそれで少し嫌だけれど。

「ふむ。わざわざホワイトデーなどせずとも、バレンタインのお返しとして返せばよいではないか」
「いや、でもバレンタイン過ぎちゃってたし。やっぱり過ぎた後に贈り物って、なんだか微妙な気分になっちゃってね」
「?バレンタインが終わった?いつ?」
「え、だって冬の領土ではもうバレンタイン期間終わっちゃったんでしょ?」

 だからこそ悩んだのだが、やはりビバルディも「バレンタイン過ぎても気にしない」タイプだったのだろうか。

「ふふっ、アリスは面白いことを言うのう。バレンタイン期間は終わってしまったかもしれぬが、そもそもこの世界に時間など関係ないのじゃ。お前がバレンタインと思った日が、バレンタインなのだよ」

 いつでもよかったのに、と。
 アリスからのお返しを嬉しそうに撫でながら、ビバルディは微笑む。そんな顔をされると、お返しの時期を悩んでいた自分がバカらしくなってくる。
 相変わらずこの世界の常識にはついていけない部分がある。

 それでも残る決意をしたのは、世界を愛しいと思うのは。
 この可愛らしくも残酷な人が、大切だからだろう。

 ふとアリスは思う。もし、本当にあの夢の通り、ビバルディが男だったら、自分はどうしていたんだろうと。
 ・・・・・・・きっと答えは変わらないだろう。
 男だろうと女だろうと、きっとこの赤の城の主を・・・・・・愛しく思ったはずだ。


「・・・・・・私、ビバルディ好きだわ」
「ふふっ、ありがとう。わらわもお前が大好きよ」


 少女のように純粋に微笑む、美しい人。
 この人の笑顔がいつまでもいつまでも、壊されませんように。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【幸せの約束(ブログ企画、ユリアリ)】へ
  • 【Children Garden(ブログ企画、ハートの城&時計塔)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【幸せの約束(ブログ企画、ユリアリ)】へ
  • 【Children Garden(ブログ企画、ハートの城&時計塔)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。