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「QuinRose」
アリスシリーズ

金の鎖(ハートの国恋愛End後、ボリアリ)

 ←番外編:突撃、あそこの家族んち →本編 日常風景~ボリス、学校に来る!の巻~
 しゃらりと鳴る金の鎖。それが彼らを繋ぐ絆。


「アリス。アリスってば」


 無邪気な声に、アリスはまどろんでいた瞳をゆっくりと開いた。
 暖かな午後の陽射しとこちらを覗き込む人影が真っ先に飛び込んでくる。それが誰かなんて、確認するまでもなく知っている。もう何時間帯もの間、ずっと傍にいる相手。

「ボリス・・・・・・・・?なに?」
「あ、ごめんごめん。ひょっとして寝かけてた?」
「ん~・・・・・・・・・・・」
「ははっ、寝ぼけてるね~・・・・・・・・可愛いなあ」

 優しく髪をなでられ、その心地よさにアリスは小さく口元に笑みを浮かべた。
 左手に絡められたボリスの指に、小さく力がこめられるのを感じる。もう互いの温度が当たり前になるほどに長いこと握られた手。繋がれたままの掌からわずかに視線を下げれば、その手首にはボリスとアリスを実際に繋ぐ金の手錠がある。
 つけ始めた当初は不便も多かったが、どうにかこうにか慣れてしまうほどには時間も経った。今じゃ、たま~~にどうしてもの時に手錠を外した際、妙に軽くて自由な手首に違和感を感じてしまうほどだ。

「で・・・・・・・・どうしたの?なにか見つけた?それとも、そろそろ帰る時間?」

 まどろみたい誘惑を振り払い、アリスは目をこすりながら体を起こす。
 優しい風がそっと吹き抜けていく。ボリスがお気に入りだというその場所は、遊園地が一望できる丘の上で、風通しも良ければ日向と木陰のバランスも絶妙な「お昼寝スポット」だった。

 アリスにとって、今日の外出はかなり久しぶりのことだ。
 彼女がこのハートの国に・・・・・・ボリスの元に残ることを決意し、散々不安な思いをさせてしまったボリスからの「手錠で繋ぐ」というとんでもない行為を甘んじて受けるようになってから、アリスはあまり外に出なくなった。
 もちろん、恋人と手錠で繋がれたまま外をうろつくという恥ずかしいことをするのが、この世界では唯一といってもいいほどの常識人にあたるアリスにとって、考えられないことだったからというのもある。けれどそれ以前に、手錠で互いの存在を繋ぎとめてもなお不安そうだったボリスに気を遣っていた。
 手錠を外さない理由を「楽しいから」と笑って言う彼が、ときおり怯えるように金の瞳を揺らしているのをアリスは知っている。
 周りの人間に見せ付けてやりたいと言いながら、少しでも外に出るような時には、手錠で繋がれた手をさらにしっかりと握り締めてくる癖があることに気が付いている。

 だから正直、ボリスが出かけようと言い出した時、彼女は少し驚いたのだ。

 しかもやってきた場所が、遊園地からは少し距離のある場所。いつもは出かけても遊園地内くらいの範囲までしか行かなかったから、手錠で繋がって以来、初の遠出と言ってもいい。
 初めは不思議がっていたアリスだったが、人目を気にすることもなく、常に間近にあった遊園地の喧騒すら届かない静かな丘で、うららかな陽射しと爽やかな風の魅力に、いつの間にかすっかりリラックスしてしまったようだ。気が付けばひとりまどろんでしまっていた。
 いくら傍にボリスしかいないと言え、草の上で堂々と未婚女性が寝ているなんて褒められたものじゃない。

「手だして」
「え?」
「アリスにあげる。地味で悪いんだけどさ」

 差し出されたものを反射的に受け取る。
 掌に乗せられたそれを、アリスはまじまじと見つめた。シロツメクサの花をいくつかあわせたて作られた、小さなアクセサリーのようなものだった。
 丸くて白い花が控えめに、しかし美しい花束のように品よくまとめられ、草で編まれた土台部分はしっかりとした作りになっている。帰ってからピンなどを取り付ければ、普通にコサージュとして使えるだろう。素人目にも、相当にうまい出来だと一目で分かる。

「・・・・・・やっぱり変、かな?見よう見まねで作ったんだけど・・・・・・ちょっと地味だったかもなって。本当は花冠あげようと思ったんだよ?でも手の届く範囲に花がなくてさ」
「これ・・・・・・ボリスが作ったの?」
「アリスがうとうとしてる間に、ちょっとね」

 見れば、ボリスから少し離れた位置にコサージュと同じ白い花が揺れていた。
 昔よく、姉と一緒に花冠を作った、それと同じ花。こうした場所でよく見かける、珍しくも何ともない花。なのに、こうした形で渡されると何よりも綺麗に見えるのはどうしてだろう。



「・・・・・・ありがとう」



 自然と笑みがこぼれる。温かくてくすぐったい気持ちが胸の中に広がっていくのを感じる。こういう温かさを幸せと、あるいは恋と呼ぶのなら、あんなに嫌がっていた「恋愛」も悪くはない。
 心の底から湧き上がる嬉しさのままに言葉を紡いだのだが、なぜかボリスは固まった。そしてその態度に首を傾げたアリスの前で盛大な溜息をつき、困ったようにがしがしと頭をかく。片手の隙間から見えたボリスの目元が、微かに赤らんでいるのが見えた。

「あんたって・・・・・・・・・あんたってさあ、どうしてそう・・・・・・・・」
「は?」
「ああもうっ!なんでそんなに可愛いんだ・・・・・・・俺ばっかり、バカみてー・・・・・・・」
「え、わっ!?」

 ぎゅ、と。
 突然抱きつかれ、その勢いのまま二人で草の上へと倒れこむ。
 頭をぶつけないようにさりげなく気遣われたボリスの手のおかげで、痛みはなかったが、それでも急に抱きつかれて押し倒されたら誰だって驚く。
 文句を言おうかとアリスは口を開きかけたが、目の前に迫ったボリスの顔に言葉を飲み込む。

(なんて顔、してんのよ・・・・・・・・・・)

 愛おしいものを見つめる、優しげに細められた金の瞳に囚われる。
 困ったように眉を細めているくせに、口元は柔らかな笑みを形どっていて・・・・・・・・・思わず泣きたくなるほどに、慈しみと愛しさに溢れた表情。


「アリス・・・・・・」


 そっと囁かれ、おずおずと差し出された指がアリスの頬を愛撫する。
 愛されていると実感できるほど。目に見えないものすら信じようと思えるほど。愛情に満ちた響きで、彼女の名が音になる。

 こんな目で見てくれる人を、アリスは知らない。
 こんな風に自分を呼んでくれる人を、アリスは知らない。

 あの時。帰らなければならないという義務感を粉々に砕いてくれたのは、彼だった。
 帰るのならば殺していけと彼は言った。殺せないならば、自分が殺すとも言った。そのくせ、アリスを殺したくないと泣きそうな声で呟いた。
 ・・・・・・・世界の果てまで、追いかけて、引き止めてくれた。

 どうして拒めるだろう。
 どうして愛さずにいられるだろう。
 こんなにも、自分を愛してくれる、聡くて愚かな、優しい人のこと。

 ゆっくりと近づく金の瞳を、アリスは静かに瞳を閉じることで受け入れた。
 唇に触れる、柔らかい温もり。
 やんわりと下唇を食み、唇全体を覆うように吸われ、離れを繰り返し、ゆっくりと、確実に、深まっていく。

「んっ・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・ふ・・・・・・っ、アリス・・・・・・・・・」

 小さく濡れた音を立て、唇が離れる。
 互いの口を繋いだ銀糸がぷつりと切れるのをどこか寂しげに見つめ、ボリスは軽くアリスと自身の額をくっつけた。鼻先が僅かに触れ合う。少し荒くなった吐息が間近に感じる。

「好きで好きで・・・・・・たまらない。こんなに誰かを好きになったの、初めてなんだ」
「ボリス・・・・・・」
「好きすぎて、たまにどうしたらいいかわからなくなる。これだって、本当は早く外してやった方がいいのかなーとか思ってるんだけど・・・・・・アリスが傍にいてくれるのが嬉しくて、つい先延ばしにしてる」

 そう言って、ボリスは手首の手錠をなでる。長いこと手錠をつけているせいで擦れて赤くなった部分を、痛々しそうに、それでも嬉しさを隠さずに見つめてくる。
 ・・・・・・その視線が好きだと言ったら、ボリスはどんな顔をするだろう。

「・・・・・・いいわよ、別に。あんたが飽きるまで、このままでいてあげる。約束したのは私だもの。傍にいるって、ボリスが信じられるまで・・・・・・このままで、いい」
「いつ飽きるのか、わからないんだよ?もう結構経ったっていうのに、未だに飽きる気がしないのに。もしかしたら一生、なんてことも・・・・・・・」
「それならそれでいいわ」

 にこりと。
 アリスはわざと挑発的に笑ってみせる。
 さっきボリスは「自分ばかり好きだ」なんてことを言っていたが、とんでもない。アリスだって、そこは負けるつもりはない。



「一生繋がれてもいいってくらいには、私だってボリスが好きだもの」



 手錠を繋げたのはボリスでも、繋がれることを選んだのはアリス。
 お互い様な絆を、2人で望んだ願いを、自分だけのものだなんて言わないでほしい。
 握り締めたままだったシロツメクサのコサージュをそっと手離す。代わりにボリスの顔をぐいっと引き寄せ、噛み付くようにキスをした。
 本当に欲しいのなんて、彼だけだ。





 いつの間にか、空は夜の色に変わっていた。風も少しだけ冷たい。
 人工の光に彩られた遊園地が、美しく浮かび上がっているのがよく見える。身支度を整えてボリスに支えられながら立ち上がったアリスは、その美しさに小さく息を吐いた。

「・・・・・・・気分転換、できた?」

 ぽつりと呟かれた言葉に、アリスは振り返る。穏やかな笑顔で見下ろす金の視線とぶつかった。
 忘れないでねと差し出されたコサージュを受け取り、そしてアリスは理解する。彼が遠出なんてしようと言い出した、理由を。

「・・・・・・・ええ、とっても。外は気持ちいいわ」
「そ?よかった」
「ありがとうね、ボリス」
「お礼言うことなんてないよ。俺が外に出たい気分だっただけなんだから。猫ってさ、家も好きだけど・・・・・・・散歩も好きなんだ」

 いつものように、屈託のない笑顔を見せて何事もないように振舞う。それが彼の気遣いだと知っている。
 閉じこもりがちで、確かにアリスの心も少しだけ沈んでいたような気がする。あまり態度に出してはいないはずなのに、ボリスはすっかり見抜いていたようだった。

 手錠で繋がれた互いの手は、絡んだまま。
 その指先に、今度はアリスの方から力を込めた。

 アリスの右手には、ボリスからもらったコサージュ。
 左手には、ボリス自身。

 両手とも、ボリスがくれた「幸せ」でいっぱいで、だけどそれでいいと思う。
 ・・・・・・彼がそれで幸せだと思うなら、この両手くらい、いつだってボリスのために空けておこう。

 いつか繋いだ互いの手首から、金の手錠が消えようと。
 しっかりと手を繋いでいれば、それでいい。

 金の絆が消え去っても、この手だけは離さない。





End.
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