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「QuinRose」
Clover's Little Girl Story~パパは心配性~

その子、最強につき

 ←Hello,Girl →one night(ハートの国、ユリアリ)
 仕事から逃亡する上司、それを追いかけるマジメな部下、見守りつつもしっかりと手綱を握る余所者だった部下の妻。
 そんな賑やかなクローバーの塔には、アイドルがいる。





「あ、アクア様!?ダメですよ、そんなところに上ったら危ないです!!」
「そうですよ、落ちて怪我でもしたら大変です!!」

 ある昼の時間帯、クローバーの塔の庭。のどかな昼時には似つかわしくない慌てっぷりで、いい大人が三人ほど集まっている。
 彼らの視線の先には、木の枝に腰かけた少女がいた。
 まだまだ幼く小さな体つきで木に上っている姿は、確かに危なっかしい。水色のエプロンドレスを着た少女は平然とした顔をしているが、見ている大人はそれどころではない。いつ落ちてしまうかと心配で、その場を迂闊に離れることもできない。
 少女が座っている枝は、ぎりぎり大人の手が届かない位置にある。そんな高さから幼い子供が落ちようものなら、大怪我する可能性が高い。手を伸ばして少女を捕獲することもできず、結果として、無力な大人たちは少女に懇願するくらいしか手はない。

「へーき!アクアね、木登りできるんだよ。これくらい大丈夫だもん」

 肩口まで伸びたストレートの黒髪が、柔らかく揺れる。
 瞳が、悪戯っぽく細められた。目元は父親似だが、瞳の色は母親似のそれに見つめられると、クローバーの塔の職員としては弱い。何しろ、敬愛する上司夫妻を彷彿とさせるのだから。

「アクア様、お願いですから下りてきてくださいよ~~」
「お願いします!アクア様が怪我をしようものなら、俺達グレイ様に殺されますっ!」

 半ば涙目になって、木の上の少女に呼びかける大人・・・・・・という不思議な構図だが、当の大人達はいろいろ切実だ。
 何しろ、この少女・・・・・アクア=リングマークは、彼らの上司がそれはもう目の中に入れても痛くないほどに溺愛している一人娘だ。その溺愛っぷりは塔内には留まらず、すでに他領土にまで知れ渡っているほど。
 そん愛娘が、怪我などした日にはどうなることか・・・・・・考えただけでも恐ろしい。「殺される」という表現は、決して大げさなことではない。
 本当の本気で、殺されかねない。
 だが、アクアは下にいる大人達の必死さもどこ吹く風といった様子で、木の上からの景色を満足そうに楽しんでいる。

「そ、そうだアクア様!実はさっき、厨房で新作のケーキの試作品が作られていたんです。急いで持ってきますから、一緒に食べてみませんか?」
「・・・・・・ケーキ?」

 何とかアクアの気を引こうとした言葉に、見事に少女は反応する。
 興味深そうに輝いた瞳に、これを逃すまいと男達は次々と口をそろえた。

「ええ、アクア様の大好きなイチゴケーキです!特別にアクア様の分だけ、イチゴを山盛りにしてもらいますから、下りてきて食べましょうよ、ね!」
「いちご・・・・・・」
「他に欲しいものがあれば、それも持ってきますから!アクア様はココアがお好きでしたよね。それともジュースがいいですか?」
「アクア様の好きな遊びにも付き合いますから。何がやりたいですか?前みたいに、おままごとでも何でもいいですよ!」

 怒涛の誘惑ラッシュに、さすがの少女の気持ちもぐらついたらしい。
 じっと下にいる大人達を見つめ、けれど木の上の光景も捨てがたいのか、何度も視線を戻して・・・・・そしてようやく、おずおずと首を傾げた。

「・・・・・プリンも食べていい?」
「もちろんですっ!!!」
「じゃあ下りる!!」

 にっこりと愛らしい笑みを浮かべ、アクアは頷いた。
 その一言にほっとしたのも束の間、そのまま飛び降りようとした少女を大慌てで止めたり、厨房に行ってお茶の準備を整えたり、おままごとに付き合ったりと、その場にいた彼らはその後、時間帯が変わるまでアクアに振り回されることとなった。

 ・・・・・ちなみに、彼らがその時間帯、「サボり」ということで容赦なく減給されたのは、また別の話である。





「ナイトメア様~~!!」

 タタタッと駆け寄ってきた少女は、執務室の椅子に座っている夢魔に躊躇いもなく抱きつく。
 もともと仕事に集中していなかったナイトメアは、僅かに微笑を浮かべてアクアを膝の上へと乗せた。眼帯に隠されていない灰色の瞳が優しく細まる。

「こらこら、小さな淑女はそんなに行儀の悪いことはしないはずだぞ?」
「ごめんなさい。でもね、あのねあのね、ナイトメア様にナイショのお願いがあるの!」
「うん?なんだ、言ってごらん」

 アクアの声は聞こえているだろうに、ナイトメアはわざとそう尋ねる。少女が自分に「ナイショ話」をすることが好きだと知っているからこその行動だ。
 くすくすと楽しそうに笑い、アクアは口元をナイトメアの耳に近づけてナイショ話を囁く。何度か頷いて話を聞き、体を離した後、ナイトメアはわざとらしくしかめっ面を作ってみせた

「う~ん、なるほどそれは難しいな。いくら私でも、すぐには『いいよ』と言ってあげられないかもしれない」
「ええ~~・・・・・・ナイトメア様でもダメなの?ナイトメア様は何でもできる、すご~~い人なのに・・・・・・」
「ああ。何しろ、君のママはそんな私よりも怖~~~い人だからな。ママから怒られるかと思うと、怖くて怖くて・・・・・・」
「ママが怒るの?こわ~~いの?・・・・・・・あ、でもね、ナイトメア様がアクアのせいでママに怒られたら、アクアもママに怒られてあげる!」

 無邪気な笑顔と真っ直ぐな瞳は、子供特有の純粋さでキラキラしている。素直に可愛らしいと思えるような笑顔だ。
 アクアの両親にもこれくらいの可愛げがあったなら・・・・・・と密かにナイトメアは溜息をつく。グレイにこんな可愛い時があったとはあまり想像したくもないが、アリスにはあったかもしれない。まあ、彼女の根暗な部分とか卑屈さとかは、ナイトメアからしてみれば愛すべき要素の一つなので、あれはあれでアリスらしくていいのだけれど。
 他愛もない思考を振り払い、ナイトメアはアクアの頭をそっと撫でた。信じられないくらいに柔らかく手触りのいい黒髪の感触が伝わってくる。子供の髪は、大した手入れをせずともサラサラだ。


「君が怒られてくれるのなら、怖くはないな。わかった、可愛い君のお願いだ。叶えてあげよう」
「わあいっ、ナイトメア様、大好き~~!!」


 むぎゅりとナイトメアに抱きつき、アクアは尊敬の眼差しを向ける。どこぞの上司大好きウサギばりに裏表のない尊敬を浴びるのは、なかなか気分がいい。
 本当に両親もこの尊敬っぷりを見習えばいいのにと思いながら、ナイトメアはアクアからのお礼のキスを頬に受けた。





「パパ~~お仕事終わった?」
「すまないな。まだ少し残ってて、遊んでやれないんだ」
「・・・・・・そう」

 しゅん、と音がつきそうな勢いで落ち込んだ最愛の娘の姿に、グレイの胸がものすごい勢いで痛んだ。
 アクアの手には子供向けの本が大事そうに抱えられている。娘が自分と本を読むことをものすごく楽しみにしていてくれるのを知っている分、余計に罪悪感で胸が痛い。
 今すぐ遊んでやりたい気持ちになるが、残念ながら休憩はまだまだ先。仕事はびっしり詰まっている。
 考えてみれば、前回も急な仕事のせいでアクアとろくに遊んでやれないままだった。しかも外出の約束をしていたのにも関わらず、急なキャンセルをするはめとなり・・・・・・あの時、普段は物分りのいい方のアクアもさすがに最後までダダをこねていた。
 いい加減、娘に愛想を付かされても文句は言えないかもしれない。

「すまないな、俺は悪い父親だ・・・・・・・急いで仕事を片付けてくるから、もう少しだけ待っていてくれないか?」
「・・・・・・・」
「アクアはいい子だから、待っていられるだろう?」
「・・・・・・・お仕事終わったら、いちばんに遊んでくれる?」

 上目遣いに尋ねられた言葉に、グレイは思わず表情を緩める。
 なんという物分りのいい優しい子だろう。中身がアリス似で心底よかったと思う。心配で仕方がないほど可愛らしくて、甘やかさずにはいられない。

「ああ、もちろんだ。そうだ、いい子に待っているご褒美に、次の休みにはどこでも好きな場所へ連れて行ってあげるぞ、前の約束をダメにしてしまったからな。今回は仕事が入っても、アクアを優先させるよ。欲しいものだって、何でも買ってあげよう」
「本当!?パパ、ありがとう!!」

 パッと笑顔を浮かべた娘に抱きつかれ、文字通り、グレイの顔がとろける。
 本当に本当に可愛い娘。疲れも一気に癒されるほどの可愛さ。この可愛い娘のためにも、全力で仕事を終わらせようと彼は決意する。
 邪魔をするものは、たとえ己の上司だろうが容赦はしない。


「パパ、約束ね♪」
「ああ、約束だ」


 差し出された小さな小指に指を絡める。
 完全なる親バカフィルターにかかれば、目の前の娘はまさに「天使」だった。





 この可愛らしいアイドルの母親であり、唯一アクアをきちんと叱ることのできるアリスは、友人である美しい女王にこう語ったという。
 「私がスパルタにならなきゃ、誰もあの子を叱ってくれないんだもの」と。



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