スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←Kiss me again(ワンドEnd後、ユリルル) →Cat's Cafe!(なんちゃって御伽話、ボリアリ)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【Kiss me again(ワンドEnd後、ユリルル)】へ
  • 【Cat's Cafe!(なんちゃって御伽話、ボリアリ)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

月捕物語(なんちゃって御伽話、ブラアリ)

 ←Kiss me again(ワンドEnd後、ユリルル) →Cat's Cafe!(なんちゃって御伽話、ボリアリ)
 昔々にあったこと。あるおじいさんが黄金色の竹を切り、そこから出てきた女の子を育てていた頃のお話です。

 時の帝はまだ年若く、大変整った面差しの御方でございました。
 少々女癖は悪うございましたが、それも男の誇りというもの。しかしながら妻も娶らず、お世継ぎもまだ先とお考えなのでしょう。身を固める気配のないご様子に、家臣の方々は皆様気をもんでおられました。
 そんな気苦労を横目に、帝はあちらの華こちらの華と渡り歩くばかりで、艶やかな蝶のごとく気ままに世をお過ごしでいらっしゃったのです。

 ところがある日を境に、帝のご様子が変わったのです。
 巷で噂となっていた「輝夜姫」と呼ばれる姫君を垣間見て以来、それまでどの姫君にも続けてお渡りなさることがなかった帝が、熱心に通いはじめたのでございます。



「こんばんは、麗しの姫君。ご機嫌はいかがかな?」

 そういうわけで、帝は今日も輝夜姫の元へとやってきていました。
 世の姫君なれば、このようにお若く美しい殿方が熱心に通われれば頬を赤らめてお迎えするものですが、輝夜姫は違いました。露骨に顔をしかめ、ふいとそっぽを向いてしまうのです。
 帝はそのような態度を気にした様子もなく、かえって面白いものを見るように楽しげに笑みを浮かべなさりました。

「・・・・・・・・・最悪よ。今日もどっかの誰かさんがしつこく顔見せに来たせいでね」
「ふふふ、つれないなあ。私は君を想って眠れぬ夜を耐え切れず、こうして忍んできたというのに」
「戯言なら他で言ってちょうだい。私で面白がらないで」
「それはできない相談だ。君は面白い。私を飽きさせないでくれる・・・・・・・・実に得がたい姫君だ。ずっと傍に置いておきたいと願うほどにね」
「ブラッド」

 咎めるように姫君が口にした名前を、帝は平然と受け止めました。
 ブラッド、とは帝の真名でした。真名は高貴な身分の方には特に重要な意味があり、これを明かすということは相手に心を明かすも同然です。帝は自らの誠意の証として、輝夜姫に真名を明かしておりました。それほどまでに、帝は姫君を気に入っていらしゃったのでございます。

「私は、貴方の真名を預けてもらえるような女じゃないわ。今は人間の姿をしていても、私は本来違う存在・・・・・・・・人ではないの。いずれ、帰らなくちゃいけない」
「君が人ではないことは、重々承知しているよ。初対面のときに、見事に証明してもらったからね」

 そのときを思い出し、帝は楽しそうに笑いなさいました。
 初めて帝が輝夜姫の元を訪れた日、手をお出しになられようとした帝の手を振り払い、姫はこつぜんとその姿を消して見せたのです。人でないことを証明してみせた姫君に、家臣の方々は帝に「輝夜姫に近づきなさるべきではない」と口々にご忠告なされました。
 しかし帝は、お聞き入れなさいませんでした。
 帝だからと言って媚びない眼差し、物言い、態度。そして求婚者達を悉く退けて頑なに恋から逃れようとする輝夜姫に、帝はたいそうなご興味を抱かれていたのです。

「だが・・・・・・・人ではないというそれだけで、私は欲しいものを諦める性分ではないのでね」
「また手を出そうとしてみなさい。あんたの顔を永遠に見なくて住む場所まで逃げてやるから」
「安心しなさい。君との約束は守る。君の許しがあるまで、手は出さない。その代わり・・・・・・・こうして会って、話をするのは認めてほしいものだな・・・・・・・・つれない月の姫君?」
「誰が許可なんてするものですか。私は恋をしないって決めているのよ」
「ふふ・・・・・・・どうかな?」

 髪を一房すくいあげ、そっと口付ける帝のご様子を横目に、輝夜姫は薄っすらと頬を染めました。
 紙燭の光だけではわからないと思ったのでしょうが、帝はそんな姫の様子を見届け、嫣然と笑みを浮かべなさります。
 帝と姫のお戯れは、それから3年もの間、続くことになりました。





「・・・・・・・・・帰る日が、近いそうだな」
「聞いたの?」
「翁が泣きついてきたぞ。姫、迎えが来るとは本当のことか?」

 ある日のことです。
 いつものように輝夜姫の元へお渡りになられた帝は、いつになく厳しいお顔で姫を問い詰めました。
 一方の輝夜姫は、悲しそうな表情をなされ、小さく頷きます。もうすでに育ての翁たちには告げたことですが、帝には最後まで隠しておこうと姫は思っていたのでございます。


「私は天界で大罪を犯し、その償いのために人間として下界で生きることになっていたの。でもその贖罪ももうすぐ終わり・・・・・・・15日の満月の晩、月から迎えが来るわ。私も帰らなくちゃ」
「そんなことは許さない。君はここに残って、私の妻になるのだからな」


 あまりにも一方的な物言いに、姫は驚きに何も言えなくなりました。
 帝はそんな姫に構った様子もなく、乱暴に姫をかき抱きました。驚いた輝夜姫がもがきますが、その腕はびくともしません。

「か、勝手なことを言わないで!私は帰らなくちゃいけないの。私の罪はこれで許されるのよ!?これ以上ここに留まったりしたら、また罪を重ねてしまうことになる・・・・・・・それじゃあ贖罪の意味なんてないじゃない!」
「私は君の罪なんて知ったことじゃない。君がどんな罪を犯そうが、誰だろうが関係ないし、興味もない。今の君が・・・・・・・・私が欲しいと思う姫君、その人だ。誰が手離すものか」
「っ・・・・・・・・ぶ、らっど・・・・・・・・」

 思わぬ言葉に、輝夜姫の瞳が潤みました。
 それが勝手な帝に対する怒りなのか、愛情を抱き始めてしまった人との別れに対する悲しみなのか、手離さないと言ってもらえる嬉しさなのか・・・・・・・・姫には、わかりませんでした。

 人となってから、姫はたくさんの感情を知りました。
 美しいものも醜いものも、嬉しいことも苦しいことも、彼女が見て聞いて体験したことは、すべて大切な思い出となっています。

 けれど天に帰る際には、この気持ちは消えてしまうことを姫は理解していました。なぜなら、天人には感情など必要ないからです。
 感情がないからこそ、俗世に煩わされることもありませんでした。「人」という生き物がもつ感情は、苦しく重く・・・・・・・けれどこんなにも輝いているものだと、姫は人間として生きることで初めて知ったのです。

「姫、君の贖罪は・・・・・・・・不犯を貫くこと、だろう?」
「っ!?ど、どうして・・・・・・・・」
「君の態度は明らかに恋やら愛やらを避けようとしていたからね。例え誰かを愛しく思おうとも、その者と体の繋がりをもってはならない。愛しているものを愛することが許されない・・・・・・・それが罪を償う条件というわけだ。なかなかに面倒な・・・・・・・」

 伸ばされた指が姫の顎を捉え、上向かされます。
 吐息がかかる距離で顔を覗き込み、帝はとても危うい笑みを口元に敷きました。



「・・・・・・・・だがそれはつまり、誰かと体の関係を持ってしまえば、君の贖罪は成立しない、ということにもなる。君は・・・・・・・・帰れなくなる」



 まさかと思う間もなく、姫は床に押し倒されていました。
 近づいてくる帝を押しのけることが、輝夜姫にはできませんでした。いつもどこか余裕のある帝が、このように切羽詰った様子を見せることなど・・・・・・・・3年の付き合いで、一度もなかったからです。
 深く合わされた唇に、姫の瞳から涙が一筋流れました。

「言っておくが、泣いたところでやめはしないぞ。憎みたければ憎めばいい。私は君を妻にするともう決めた。嫌がったところで、君はもう私のものだ。逃がしはしない」
「・・・・・・・・・そういうとこが、嫌いなのよ。あんたのその、自分勝手に何でも決めるところが」

 輝夜姫は帝をぎっと睨みつけました。
 このまま帝に抱かれたならば、姫は帰る資格を失うでしょう。贖罪のために今まで姫は生きてきました。それを台無しにしたとなれば、姫はこれから先、永遠に後悔に苛まれます。

 帝は・・・・・・・・・恐らく、彼女のそんな性格を知っていて、無理やり姫を抱こうとしているのです。

 そうすれば、姫には言い訳ができます。
 帝に無理やり贖罪を台無しにされたのだから、仕方がないと。悪いのはすべて・・・・・・・・・・ブラッドなのだ、と。


(バカじゃないの。私は、その気になれば逃げられるのよ。初対面でそうしたように・・・・・・・・いつだって、ここから逃げ出せる)


 偽悪的な帝の態度に、姫はますます涙をこぼしました。
 逃げ出さないのは、輝夜姫の意思でもあるのです。それまで見ないふりをしていただけで、姫は帝に・・・・・・・・とっくに心を許していたのです。贖罪を諦めて、彼のものになってもいいと思うほどに。

 再び顔を寄せた帝の傍で、姫はひとつの名前を呟きました。
 聞きとめた帝が不思議そうに瞬きをするのを見やり、彼女は静かに微笑みました。


「・・・・・・・・・私の、真名よ。ブラッド」



 数日後、時の帝がついに奥方をお迎えになられました。
 世間は上も下も大喜びで、天女を妻となされた帝を称えたのでございます。
 帝と奥方は、その後も仲むつまじくお過ごしになられたのだとか。めでたし、めでたし。





おしまい
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【Kiss me again(ワンドEnd後、ユリルル)】へ
  • 【Cat's Cafe!(なんちゃって御伽話、ボリアリ)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Kiss me again(ワンドEnd後、ユリルル)】へ
  • 【Cat's Cafe!(なんちゃって御伽話、ボリアリ)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。