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「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

にんじん恋物語(なんちゃって御伽話、エリアリ)

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 御伽話のお姫様と言えば、美人で優雅で優しくて・・・・・・・幸せな暮らしを送っている、なんてイメージが浮かぶ人が大半でしょうか。
 このお話のお姫様は、少し違います。確かにそれなりに可愛らしい顔立ちもしていましたし、見事な金髪をもち、それなりに恵まれた生活も送っていました。昔は。


(来る日も来る日もにんじん三昧・・・・・・・いやまあ、ウサギの国だからにんじんばっかりなのも当たり前なんだろうけどね。)


 心の中で盛大に愚痴りながら、黙々とオレンジ色のスープをかき混ぜているみすぼらしい少女。
 顔と両手は煤けて黒ずみ、いろいろな動物の皮を継ぎ合わせてできた汚らしいマントを頭からすっぽりと被り、ろくに顔を見ることもできません。
 いかにも哀れな乞食娘のこの少女こそ、今回の主人公のお姫様・・・・・・・アリスです。

「おい、毛皮っこ。そのスープの仕込みは後でいいから、ちょっと来い。できるだけ身綺麗にしてな」
「はい?」
「王様がお呼びだ」
「・・・・・・またですか」
「また、だ。王様はよほどお前の作るにんじんスープがお気に入りらしいな。」

 料理版のからかいの言葉を曖昧に交わし、アリスはこっそりと溜息をつきました。
 アリスは少し前まで、ある国のお姫様でした。ところがある事情から父親から結婚を迫られることとなり、いよいよ結婚させられそうになったため国を逃げ出したのです。追っ手を撒くために顔と両手に煤を塗りたくり、千の動物の毛皮を縫い合わせたマントを被って。
 そして逃げ疲れて森で眠っていたところを、その森の持ち主であった王様に拾われたのです。

 ただ・・・・・・まあ、そう言うと聞こえはいいのですが、実際は狩りの途中だった王様に珍しい獣と間違われて撃たれそうになるわ、生け捕りにされて結局お城の台所の下働きをさせられるわ、汚い格好をしていたせいで「毛皮っこ」とバカにされまくるわ。なかなか散々な目にばかり遭っていました。
 そんな理由もあり、アリスは正直ここの国(後で知りましたが、ここはウサギの国だそうです)の王様に良い感情は持っていませんでした。初対面で殺されかけたのですから、当然の反応です。

(なのに今は・・・・・・・・)
「アリス!!呼び出しちまって悪かったな。いやあ、あんたの料理、今日もマジで最高だったぜ!!特にあの・・・・・・にんじんパン入りのにんじんスープ!!あれは本気で絶品だ!!あれのためなら、毎日でも晩餐会を開きたいくらいだぜ・・・・・・・」

 アリスが姿を現した途端、満面の笑顔で出迎えてくれた王様の顔をアリスは見つめました。
 見た目は強面で男前なお兄さんですが、その頭から生えたミルクブラウンの長い耳が嬉しそうにひょこひょこ揺れているのを見ると、強烈に可愛いと思ってしまうから不思議です。オレンジがかった柔らかそうな金髪は、まだ姫だった頃に絶賛されたアリスの金髪にも劣らない美しさを持っています。
 一度は鋭くアリスを見据えた紫水晶の瞳が、今や信頼にキラキラと光り輝いて向けられているのですから、世の中とはわからないものです。

「・・・・・お褒めにあずかり、光栄ですわ。エリオット様」
「あ~・・・・・・・だから、そんな堅苦しい話方やめろって。俺はあんたを気に入ってるんだから、もっと普通にしゃべっていいんだぜ?」
「そういうわけにも行きません。貴方は王で、私は料理番の下働き。本来ならば、口を利くことすら許されませんもの」

 本来はアリスとて姫という身分でしたが、アリスは正体を誰にも明かさないと決めていました。明かしたところで、祖国に引き渡されるか、そうされなくともどこからか聞きつけてきた追っ手に見つかるか・・・・・・いずれにせよ、アリスにとって歓迎すべき事態にならないことは目に見えています。
 仲良くなりたい、と事あるごとに告げてくれるエリオットの気持ちは嬉しかったですが、下働きとして生きると決めた以上、身分はわきまえなければなりません。


「・・・・・・まあいっか。あんたのそういう真面目なとこも、気に入ってるしな。いつも、おいしいスープ作ってくれて、ありがとうな!!」


 とても王とは思えないほど気さくで明るい笑顔に、アリスは自然と微笑を返しました。
 エリオットがアリスの作る料理を気に入り、そしてアリス自身をも気に入って親しく接してくれるようになったのは、いつの頃からだったでしょう。初めは殺されそうになった恐怖もあり、一歩引いていたアリスでしたが、いつの間にかその笑顔に惹かれていきました。
 満面の笑顔が、真っ直ぐな好意が、感情と共に動くウサギ耳が・・・・・・・・・愛しい、と思い始めたのはいつからだったでしょう。

(どうもこの笑顔のために・・・・・・・・・がんばって料理しちゃうのよね)

 にんじん料理にうんざりし始めても、エリオットの笑顔のためならばがんばれる。
 そんな気持ちを恋だと気が付くのに、そう時間はかかりませんでした。





「・・・・・・・・・なあアリス、金色の髪のさ、綺麗な姫さんを見たことないか?」

 会話の途中、ふとそんなことを口にしたエリオットにアリスは思わず固まりました。
 アメジストの瞳が探るように自分を見つめているのを意識しながらも、アリスはわざとらしく首を傾げてみせました。頭の弱い卑しい少女に、見えるようにと。

「・・・・・・・・・私、台所から出たことないですから。それに金髪のお姫様なんて、たくさんいると思いますけど」
「晩餐会のときにだけ、何度か顔を出すんだ。見たこともないお姫さん。初めて見た時はオレンジがかったキラキラ光るドレス、2回目は銀色のドレス着てたっけな。一緒に踊って・・・・・・・・少しだけで、逃げるように消えちまう」

 じっと見つめたまま話される言葉に、アリスは緊張で高鳴る心臓を押さえつけました。
 その女性に、心あたりがありました。
 アリスは晩餐会の見学を理由に30分だけ休憩をもらい、何度かこっそりと晩餐会に出たことがあったのです。祖国を逃亡する際に持ち出してきた、3着の美しいドレスを纏って。


「そのお姫さんさ、ちょっとアリスに似てるんだ」
「・・・・・・・・・・まさか」
「本当だって。にんじん料理が好きなとことか・・・・・・・・・だって初めて会ったときとかさ、社交とかダンスとかには一切目もくれず、ひたすらにんじん料理を食べまくってたんだぜ?」


 マントを少し下げ、アリスは顔が思わず赤くなるのを隠しました。
 晩餐会にこっそりと出た理由は、ただ久しぶりに豪華な料理にありつきたかったから・・・・・・・なんて、今でも思うと恥ずかしいことでした。いくら慣れない貧相な食事に我慢の限界を突破してしまったからと言っても、あれはなかっただろうとアリスは心底自己嫌悪していたのです。
 けれど・・・・・・・二回目からは違いました。
 危険を冒してまで晩餐会に出たのは、エリオットと「姫」として会いたかったから。正体を明かすわけにはいかないからこその、ほんの束の間の夢。

 アリスの作るにんじん料理を満面の笑顔で褒めちぎり。
 初めての晩餐でにんじん料理を夢中で頬張るアリスを咎めることなく、「おいしいだろ、それ」と明るく笑いかけてきてくれる。


 そんな愛しい愛しい、ウサギの王様に会いたい。
 ただ、それだけのため。


「・・・・・・・・私は食い意地が張っている、とおっしゃりたいんですね。エリオット様が私をどう思っているかがよくわかりました」
「へ?え、ち、違うって!!別に食い意地が張ってるとかじゃなくてだな、にんじん料理が好きなところがそっくりだな~って・・・・・・・・・」
「私、別ににんじん料理が好きだとは言っていないのですけど」
「ええ!?そんなはずないだろ、アリスはにんじん料理好きなはずだ。じゃなきゃ、あんなにうまいにんじんスープを作れるはずねえし!」

 他愛のない時間をアリスは愛しく思っていました。
 たとえ下働きとして生きていかなければいけなくとも、彼女はそれなりに幸せでした。
 ・・・・・・・・きっとこの幸せは、アリスの正体がバレた瞬間に崩れてしまうのでしょう。それならば。


「・・・・・・・・・・・人違いですよ。私は、ただのみすぼらしい毛皮っこです」


 少しでも長く、傍にいられるのならば、姫じゃなくてもいい。
 一生毛皮っこのままでも、決して叶わない恋でもいい。

 マントに隠された表情で、アリスは切なく微笑みました。



 叶わないと思っていた恋が、王様の仕掛けた罠によって暴かれ、ハッピーエンドがやってくるまで・・・・・・あと晩餐会は、1度だけ。





おしまい
 
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