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「オトメイト系」
ワンドオブフォーチュン

W.L~Love Logic~(ワンド、ユリウス&マシュー)

 ←綱渡り舞踏曲(ワンド、アルル) →ざ・ねばーらんど(なんちゃって御伽話、メアアリ)
 恋するとは、自分が愛し、愛してくれる人に、できるだけ近く寄って、見たり触れたりあらゆる感覚をもって、感じることに快楽を感じることである。

                     ――― 恋愛論 第二章「恋の発生について」





 見慣れた後ろ姿を見つけ、マシューは溜息をついた。9割方ここにいるだろうと思えば案の定、だ。
 昨夜「おやすみ」と挨拶したのと同じ場所、同じ位置・・・・・・きっとまた、ここで延々と読み物に没頭していたに違いない。

「まったくもう・・・・・・・・・・」

 疲れたように呟くマシューを責めるものは誰もいないだろう。
 彼のルームメイトであるユリウスは、容姿端麗・成績優秀な学生ではあるが、いかんせん少々中身に問題がある。一度自分の研究や考えに没頭すると寝食を忘れ、暴走しがちな彼の世話を焼いたり後始末を手伝ったりするのは、いつだってマシューの役目だったりする。他の生徒に心底同情した目で、「大変だね」と声をかけられることだって少なくない。
 関わらなければいいとも言えるのだが、そうかと言って同室の友人がしょっちゅう寝不足やら生活習慣の崩壊を起こしている状況を黙ってみていられない。放っておけず、ついつい世話を焼いてしまうのがマシューの性格だ。
 もうひとつだけ溜息を落とすと、彼は机に突っ伏して熟睡しているユリウスへと近づいた。
 自習室の外の廊下からは、そろそろ学校へ向かう生徒達の声が響き始めている。早くユリウスを起こして支度をさせなければ、遅刻してしまう。

「ユリウス?ほら、起きて起きて。朝だよ、ユ~リ~ウ~ス~?」
「んん・・・・・・あと・・・・・・・・・ごふん・・・・・・・・」

 マシューが近づいても全く起きる気配がないその肩を掴み、強く揺さぶって耳元で大きな声で呼びかける。
 ユリウスがうるさそうに眉根を寄せたが、これくらい遠慮なく肩を揺さぶり続けなければ起きないことは承知済みだ。ルームメイトになってからそれなりの付き合いになった今、ユリウスの扱い方はそれなりに知っている。

「ほら、君の分のご飯は先に部屋に運んどいたから。サンドイッチにしてもらったから、支度しながらでも食べられるだろう?何か口にいれておいた方がいいよ」
「・・・・・ん、いい・・・・・・・お腹すいてないし・・・・・・だから、もうちょっと・・・・・・すう・・・・・」
「ああ、もう、ユリウスってば!そんな不摂生ばっかりしてると、ルルとかも心配・・・・・・」
「ルル!?」

 あともう少しごねるようなら、魔法で水をかけて起こすつもりだったのだが、思いがけずに勢いよく飛び起きたユリウスにマシューの方が驚く。
 半分寝ぼけ眼のまま、きょろきょろと誰かを探すかのように辺りを見渡すルームメイトをついつい凝視してしまった。

「ゆ、ユリウス・・・・・・?おはよう・・・・・・・・」
「ん?ああ、マシュー・・・・・・・・・あれ?今、ルルとか言ってなかった?」
「い、いや・・・・・ルルは今日、まだ姿を見ていないけど・・・・・・」
「え、あ・・・・・・・そう、か・・・・・・・ふあっ・・・・・・・ねむ・・・・・・」

 小さく欠伸をかみ殺しながら、眠そうに目をこすっているユリウスは普段と全く変わっていないように見える。
 が、先ほど明らかに「ルル」という単語ひとつで飛び起きた姿は未だにマシューの脳裏にくっきりと焼きついていた。


 ルル。半年ほど前にミルス・クレアへと編入してきた「無属性」という珍しい女の子だ。
 つい最近、学園生活にまで多少の影響を及ぼした「最終試験」なるものを見事に合格し、属性を手に入れ、無事にこの学園に残って勉強を続けることができることになったと聞いた。
 その試験のパートナーとして彼女が選んだ人物こそ、今ここで再び夢の中に旅立ちそうな表情をしているユリウスだった。確かにユリウスは魔法に関しては知識も豊富だし、天才と呼ばれるエストと並ぶほど実技や魔力も兼ね備えているから、ルルの人選は間違っていないといえるだろう。
 だがマシューには、ルルがそんな打算ではなく、素直に「頼れるパートナー」としてユリウスを選んだことがわかった。ルルはそういうタイプの人間ではなかったし、それに二人はお互いそれなりの信頼関係を築いているほどに仲がよかった。
 ・・・・・・正直、あの雰囲気で未だに「恋人」とかじゃないのが不思議なくらいだ。

 まあ、あの二人では少し無理もないかもしれない。

 こう言っては何だが・・・・・・・ルルとユリウスは若干・・・・・・いや、かなり天然なところがある。ついでに言うと、ものの見方や捉え方が人とずれているところもある。おまけに明らかに恋とかそういう類のものに今まで無縁でいたようなタイプだ、二人とも。
 最終試験以来ますます絆が深まったようにも見える二人にじれったくなることもあったが、マシューはルームメイトの初恋(多分)を黙って見守ることを決めていた。
 これはそもそもユリウスかルルが自分の気持ちに向き合わないと始まらないことだろうし、他人の恋路に口を挟むべきじゃない。

(・・・・・・・・に、しても・・・・・・名前を聞いただけで飛び起きるなんて、ルルってすごいなあ・・・・・・・)

 思わずしみじみと感動してしまった。恋というものは偉大だ。そしてここまできて気がつかないユリウスもなかなかすごいと、妙な方向で感心してしまう。
 そこまで想っているのは明白なのに、何故気がつかないんだろう。不思議で仕方ない。

 ふとその時になって、マシューは机の上にある本が魔道書ではないことに気がついた。
 ユリウスが自習室で徹夜するくらいなのだから、また何か魔法に関する研究かと思っていたのだが・・・・・・どう見てもユリウスが一晩を使ってまで読破していたらしき本は、魔法に全く関係のない普通の本らしき雰囲気だ。
 マシューの視線に気がついたのか、ユリウスが「ああこれ?」とその本を持ち上げて見せた。少し古びたハードカバーのその表紙に踊る文字に、思わずマシューはぽかんと口を開けてしまった。


「・・・・・・・・・・恋愛論?」
「うん、そう。わりと昔に書かれたものだから、ちょっと考えとか古いし頭の固い意見もあるんだけど・・・・・・・結構参考になるって言うか、面白いかな」


 ・・・・・・・一瞬、目の前にいるユリウスは何かの幻覚か偽物だろうかと真剣にマシューは疑った。
 ユリウスが、あのユリウスが。魔法関係以外の本を読んでいるというだけでも天変地異の前触れかと思えるほどなのに、よりにもよって恋愛なんて。あのユリウスが!!
 愕然としているマシューの様子に気付きもせず、少し眠気が飛んだらしいユリウスはどこか嬉々とした様子でその本のページを捲りながら内容を語っている。
 そのやけに生き生きとした瞳は、魔法に関して語る時の彼そのものだ。暴走しがちに早口めいているのも同じ。

「・・・・・で、恋っていうのは心の動きにいくつか段階があってこの本の作者はそれを結晶作用と呼んでいるんだけどここがまず面白くてそもそも作者が言うには」
「ゆ、ユリウス、ちょ、ちょっとストップ!!ストーップ!!」

 何とか我に返ったマシューが声をかけると、ユリウスは少し不満げながらも口を止める。
 まだ頭は混乱しているが、とりあえず今のユリウスが恋愛について魔法に関すること並に興味津々だということは何となく伝わった。ありえないことに、実にありえないことではあるが、そう考えないと今のユリウスの態度の説明がつかない。
 また研究に失敗して変な薬を飲んでしまっただとか、アルバロ辺りに何か妙なことを吹き込まれただとか、まあいくつか可能性がありえそうだが・・・・・・何はともあれ、まずは本人に聞いてみるのが一番いい。
 こほんとひとつ咳払いをして、マシューは真剣な顔でユリウスに問いかけた。


「ユリウス、なんでいきなり恋愛に興味もったの?」
「・・・・・・・・・・」


 途端。
 かああああああっと、それこそ茹でタコという表現が相応しいくらいに顔を赤らめたユリウスに、マシューはまたまた顎が落ちるほどに口を開けてしまった。
 まさかそんな恋する乙女みたいな反応するなんて、誰が予想しただろう。

「少し参考になると思って借りたのはいいんだけど・・・・・・読めば読むほどわからなくなって。当てはまってるような気もするし、そうじゃないような気もするし、なんというか・・・・・面白いは面白い、んだけど。自分に当てはめてみると、わからないんだ・・・・・・」
「ゆ、ユリウス・・・・・・・・・?」
「自分の気持ちが結局なんなのかいろいろと考えてみたんだけどやっぱりこれなのかなって思える部分が山ほどあって。実際彼女が嬉しい言葉を言ってくれると俺はほんとうに何も言えなくなるし、手を繋いだ時だってすごく嬉しいというか幸せでどうしていいかわからなくなるし、彼女が他の人を頼ったりするとすごくもやもやしてもう本当に意味がわからない」
「お、落ち着いてユリウス!!意味がわからないのは僕のほうだから」

 暴走モードに突入しかけたところを何とか宥める。
 いまいち話の全貌が見えにくいし、少し混乱した頭では理解力が追いつかないのだが・・・・・・どうやらユリウスは何か確認したいことがあって、この「恋愛論」とやらを読んだのはいいが、それを自分の立場に置き換えようとしてみたところ、こんな風に混乱するに至ったということ、らしい。多分。
 理論は納得できているのに、実技にうまく応用できないとかいうアレだろうか。


(・・・・・・・でも恋愛の知識が必要な魔法って、一体なんだろう・・・・・?)


 とりあえずユリウスと言えば、「魔法」と誰もが即答で答えるほどに行動パターンが魔法の研究で占められている彼のことだ。マシューは、ユリウスが恋愛論なんてものを読んでいる理由についてそういう風に納得した。
 ・・・・・・・・納得したところで、少し前にユリウスが口走った言葉の内容に引っかかりを覚え、ん?と小首を捻る。

 確かユリウスは・・・・・・・「彼女が嬉しい言葉を言ってくれると~」だの「彼女が他の人を頼ったりすると~」だの、なんだか具体的なことを言っていなかっただろうか。

 そこまで思い至ったところで、今度こそマシューは手にしていた「恋愛論」の本を落としてしまった。
 普段だったら、自分が読んでいる本をそんな風に扱われると文句のひとつも出てくるユリウスなのだが、今は何も言わずにぼうっとどこか遠くを見ている。
 顔を赤くしたまま、なにやら物思いに耽っているように見えるその姿は・・・・・・・まさしく、アレだ。

「・・・・・・・・・マシュー、聞きたいことがあるんだ」
「な、なに?」
「これは・・・・・・・・・・恋・・・・・・・なのかなあ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・誰に対して?」

 答えは正直わかりきっていたはずなのに、思わず尋ねてしまった。
 元々赤かった顔をこれ以上ないほどに赤くしたユリウスはしばらく目線を泳がせ、意味不明な呟き声を何度か漏らした後に、ついには小さく俯いた。



「・・・・・・・・・・・ルル・・・・・・・・」



 雷に打たれたような衝撃だった。
 ついに・・・・・・・ついに、ユリウスに春がきた!!!!!!
 ユリウスがルルに好意を抱いていることには気付いていたし、どうしてそれに気がつかないんだろうとじれったくもあったが・・・・・・・まさか本当にユリウスが自分の「恋」を自覚する日がくるだなんて!!!

 あまりの感慨深さに押し黙ってしまったマシューを勘違いしたのか、ユリウスが少し慌てた調子で弁明する。
 でもよくわからない、もしかしたら勘違いかもしれない、そんな気もするのだけどこのまま宙ぶらりんな気持ちでいるのが嫌だったから考えてみたんだけど、どうにもうまく考えが整理できないだのなんだの。
 そんな言葉も耳に入ってきたが、今のマシューにはそんなことはどうでもいい。

「あと可能性としては、親友かなっていう線も考えて・・・・・・」
「ユリウス!!!!!」
「え、な、なに?」

 いきなりものすごい剣幕で肩をがしっと掴まれ、ユリウスは目を瞬かせる。
 普段は穏やかなマシューが・・・・・・・見たこともないほどの気迫で、何かに燃えていた。


「いいかい、ユリウス。君のそれはまさしく恋、だ」
「え、いやでも他の可能性も・・・・・・」
「僕が言うんだから間違いない。恋だよユリウス、君はルルに恋してるんだ。君も恋愛論とかいう本を読んで、感じるものがあったんだろう!?じゃあそれは恋そのものだよ、うん絶対に。気の迷いとか思っちゃいけない、気がついたならさっさと恋だと自覚するべきだ。自信を持っていい!!」
「は、はあ・・・・・・・・」
「いいかい、このチャンスを逃しちゃいけない。見たところ、ルルも君のことが気になっているようだし絶対大丈夫。今日か・・・・・・それが無理なら明日にでも、君のその恋心を彼女にぶつけるべきだ!!いや、ぶつけなくちゃダメだ!!」
「え・・・・・・・・・ええええええええっ!?」


 妙な勢いのマシューによるとんでもない発言に、今度はユリウスが驚きで絶句する番だった。
 恋心を自覚しろ云々まではまだわかるとして・・・・・・・どうしてそれが、唐突な告白に繋がるのかが到底理解できない。

「ま、マシュー?そんな急なこと言われたって、俺は告白とか・・・・・・」
「甘い!!!甘すぎるよユリウス!!今こうしている間にも、ルルを狙っている男なんて山ほどいるんだよ!?そんなのにルルを取られちゃったらどうするつもりなのさ」
「・・・・・・・・え?」

 思わず反論が止まる。ルルを狙っている男、だとか考えたことはなかった。
 ルルは会いたいと思った時に大抵いつも隣にいてくれたし、ユリウスは普段からあまり興味のない他人のことは気にしない性格だったから、その間に別の第三者が入り込む可能性など思ってもみなかったのだ。

「いいかいユリウス、君は知らないだろうけど、ルルは何気にあれで男子人気高いんだよ。素直で天然で放っておけないタイプなうえに、優しくて明るくて可愛いだなんて・・・・・・普通の男が放っておくと思う?」
「・・・・・・・・・そ、そうだったのか・・・・・・・・」
「そうなんだよ!!君とルルの仲が良くて、他のライバルよりは一歩リードしていると言っても、恋なんていつひっくり返るかわからないんだよ。一刻も早い対処が必要なんだ、わかる!?」
「わかる・・・・・・・わかるよ、マシュー。そうか、俺は大変な見落としをしていたのか。こうしちゃいられない!!」
「その意気だよ、ユリウス!!そうと決まれば、告白のシチュエーションとか何を言うかをいろいろ考えないとね。後で図書館に行ってみよう」

 人気のない自習室で、やたらと燃えているマシューと彼の言葉にうまく乗せられたユリウスの言葉だけが騒がしく響き渡る。
 まるでどこぞの青春漫画のような1シーンだが、悲しいことに彼らは気がついていなかった。
 自習室の外の廊下が、すでにほとんど人気がないという事実に。


「マシュー、俺、明日にでもルルに告白するよ!!!」
「うん、応援するよユリウス。ルルが君の恋人になってくれたらなら、きっと僕の心配事も減ると思うし・・・・・・・・しっかりと手綱を握ってくれるよ、あの子なら!!」
「?よくわからないけど・・・・・・・・うん、がんばって恋人になってもらうよ!!」


 彼らが完全に遅刻だと気がつくまで、あと30秒・・・・・・・





END.
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